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[ロバート・キヨサキが語った金持ち父さんの“勝利の公式”]貯蓄に励む「貧乏父さん」は報われず、負債を活用する「金持ち父さん」はリッチに!10年ぶりの来日! ロバート・キヨサキさんインタビュー(第2回)

【第21回】 2012年6月5日公開(2025年3月21日更新)
ザイ・オンライン編集部
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早ければ5年後、遅くとも10年後に世界経済はいよいよ行き詰まる――。前回(世界経済は崩壊に向かって突き進んでいるが、「金持ち父さん」にとってはむしろチャンス到来!)、「金持ち父さん 貧乏父さん」の著者として知られるロバート・キヨサキさんはこんなショッキングな結末を予言したが、「終わりの始まり」はリーマンショックやユーロ危機ではなく、もっとはるか以前まで遡るという。いったい、私たちが気づかないところで世界経済にはどのような異変が起きていたのか?

出征先のベトナムで「紙幣=紙切れ」を実感した

ロバート・キヨサキさん  ハワイ出身の日系4世米国人。実業家・投資家として成功し、47歳で早々と引退。『金持ち父さん 貧乏父さん』は全世界で累計2800万部の大ベストセラーに。

 最初に結論から言えば、1971年から資本主義経済は破滅に向かって進み始めたとロバート・キヨサキさんは見ている。

 この年の8月半ばに、当時のニクソン大米大統領は米ドルと金との兌換停止を発表した。いわゆるニクソンショックで、それは金本位制の崩壊を意味する。そして、その瞬間から米ドルの価値は実物資産である金の裏づけを失い、単なる紙きれ同然となって信頼性がどんどん失われていったという。

 「米国海兵隊士官として出征したベトナムからの帰還直前、私は紙幣自体の価値にも疑問を抱くようになった。現地でフルーツ売りの女性からマンゴーを買おうとしたら、彼女は私が差し出した米ドル札を拒絶したのだ。彼女が求めていたのは、紙きれとなりうる米ドル紙幣ではなく、実物資産である金だった」(ロバート・キヨサキさん)

 その頃からキヨサキさんは紙幣やペーパーアセット(有価証券)の価値に疑いを抱くようになり、今はどちらも一切信用していないそうだ。千葉幕張メッセで5月に開催された有料セミナー「ウエルスマネジメントエキスポ2012」の壇上で、彼はこう述べた直後にライターで米ドル紙幣を燃やした。

現在の世界経済はクレジット本位制に移行した

 では、金本位制の崩壊によって、資本主義経済はどのように豹変したのか?

 ニクソンショックを機に、世界経済は「クレジット本位制」に移行したとキヨサキさんは指摘する。「1971年から今日に至るまで、各国政府はその国に対するクレジット(信用)を担保にして、金の裏づけのない紙幣を無尽蔵に刷って資金を調達してきた」(キヨサキさん)

キヨサキさん(写真右)とともに登壇したリチャード・ダンカン氏(写真左)(写真/(C)takeru)

 しかしながら、資金を調達した側にとって、信用とは紛れもない借金である。その返済に滞れば、「クレジット本位制」が成り立たなくなってしまう。

 キヨサキさんとともに「ウエルスマネジメントエキスポ2012」に出席したエコノミストのリチャード・ダンカン氏は次のような見解を示す。

 「第1次世界大戦の戦費を調達するために欧州各国が紙幣を増刷したことで1920年代にクレジットバブルが発生し、当時は“素晴らしき時代(ゴールデンエイジ)”ともてはやされた。ところが、やがて借金を返済しきれないことが判明し、グローバルに金融システムが崩壊して1929年には世界恐慌にまで発展した。その結果、米国の経済規模は46%も縮小した。足元の状況は当時と酷似しており、各国政府が資金を注入してクレジットを保全しなければ返済が滞る金融機関が出て、それが連鎖していくことになる」

 だからこそ、株式市場をはじめとする金融マーケットはFRB(連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)などの動きを注視しているわけだ。

 前回も触れたとおり、新たな資金が注入されるとその直後は一時的に相場が上昇するものの、またも返済に関して不安が募り始めて下落に転じるというパターンが繰り返されている。

金持ち父さんは「お金に働いてもらう」ことを知っている

 こうした状況下にありながら、多くの人々は昔からの発想を変えようとはせず、せっせと貧乏父さんの道を歩み続けているとキヨサキさんは訴える。

 紙きれ同然のお金を得るために自らがコツコツと働くものの、ロクに資産を築くことはできない。しかも、結局はリーマンショックやユーロ危機などをキッカケに破綻に追い込まれかねないという。

 「財を成すためには、相応のファイナンシャルリテラシー(金融知力)が必要となってくるものだ。金持ち父さんは貧乏父さんとは違って、自分のためにお金に働いてもらう。しかも、負債(ローン)という他人のお金を活用して不動産を取得し、レバレッジを効かせた投資を行っている。そして何より、賃料収入というキャッシュフローを手に入れることで着実に蓄財しているのだ」(キヨサキさん)

 ローンを活用した不動産投資なら手持ち資金の何倍もの資金を動かせ、キャッシュフローと呼ばれる「安定的に得られる収益の流れ」も生み出せるわけだ。

 「あえて、我々は問題を抱えた物件に目をつけている。ローンで購入した物件の価値を高めることで、新たに有利な条件のローンを組んで残債を返すというリファイナンスを駆使すれば課税も発生しないからだ。現に、我々が2750万米ドルで買ったテキサスの物件は当初50%に達していた入居率を92%まで改善させたところ、3800万ドルまで価値が上昇し、新たな融資を導き出すことができた」(キヨサキさん)

 残念ながら、現状の日本でこうしたリファイナンスはなかなか困難かもしれない。だが、「問題のある物件を割安で取得し、その価値を高めて入居率を改善させる」というスタンスは、日本における不動産投資においても大いに参考になるだろう。

 次回は、キヨサキさんをはじめとする世界の金持ち父さんが実践している「キャッシュフロー投資」と、一般の投資家が陥りがちな「貧乏投資」の違いを浮き彫りにしたい。
 

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