ネット証券会社比較
【第68回】 2013年1月17日公開(2016年7月14日更新)
ザイ・オンライン編集部

新制度で個人投資家の取引は2.5倍に!
「信用大回転時代」で盛り上がるネット証券の現場

「12月平均の2倍、デイトレードで2.5倍」。

 この数字は、2013年1月4日~10日(5営業日)の、岡三オンライン証券における信用取引の約定金額を、2012年12月の平均と比べたものだ。

信用取引相場が2012年に比べてかなり活況だ。

 下のグラフは、国内3市場(一般・制度信用)を合計した最新の信用残データだ。「信用買残」は、信用取引の買い建て残高を、「信用売残」は、売り建て残高を意味する。2012年来、買残は徐々に減少してきたが、2013年に入って急上昇に転じている。

信用買残・売残の推移(3市場、1月11日申込み現在)。1月に入って信用残が急増している。

 「2012年終盤は現物取引が活発でした。その理由として、相場が上昇する途中で塩漬け株を持っていた人の“ヤレヤレ売り“が増えたからと考えられます。一方、2013年に入ると信用取引が一気に伸びてきました」(岡三オンライン証券営業戦略部の稲田弘文さん)

 信用取引活発化の原因は相場の上昇だけでなく、新制度の影響が考えられる。1月4日から制度が新しくなり、1日の中で実質、同一資金での回転売買が可能になった(新制度の詳細はこちらの記事を参照)。

信用取引の口座開設数は3倍近くに

 2013年1月4日からはじまった新制度を前に、ネット証券各社間では、2012年後半から大口顧客を中心に囲い込みを合戦を繰り広げてきた。デイトレーダーに人気が高い岡三オンライン証券も、2012年から現在まで信用口座開設キャンペーンを続けている。その効果は確かにあるようで、「2012年12月は信用口座の開設数が通常月より2、3倍程度増加しました」(稲田さん)という。

 また松井証券は、2012年12月、信用取引の新しい口座である「一日信用取引」を発表した。デイトレードに限り、手数料無料、信用金利も条件によっては0%になる。デイトレーダーにとって、コスト面で究極のサービスの1つと言える(サービスの詳細はこちらの記事参照)

 「一日信用取引の口座開設数は、現時点(1月11日)では数千口座で、日に日に増加しています。また売買代金ベースでも、通常の現物取引と信用取引の合計に比べて、一日信用取引の比率が1~2割程度まで増えてきています」(松井証券営業推進部の鶴田亮さん)

松井証券が「一日信用取引」の口座開設受付を開始したのは、2012年12月29日のこと。実質2週間程度という短期間で、すでに「一日信用取引」口座を開設し、取引を頻繁に行っているトレーダーがかなりにのぼることになる。

 なお、これから信用口座を検討する場合は、信用取引のコストを比較したこちらのページも参考にしていただきたい。

少ない資金でも、1日に数十回転するデイトレーダーが登場

 新制度で使いやすくなった信用取引の「回転売買」。それは、1日の中で株を何度も買ったり売ったりすることだ。実際に、新制度によって回転売買は盛んになったのか。

 「1日50件以上売買する”ハイパーアクティブ層”の取引動向を見ますと、信用取引の資金回転比率(自己資金に対する売買代金の比率)は、12月は1.8倍でしたが、1月に入って3.1倍に伸びました」(岡三オンライン証券の稲田さん)。

 また、「多い方で1日に数十回転する人もいて、従来の信用取引に比べて回転数は圧倒的に増えています」(松井証券の鶴田さん)とも。

 1日の立会時間内での取引動向を見ると、「信用取引は従来、前場に6、7割の取引高が集まっていました。現在でも前場の方が若干比率は高いですが、ほぼ五分五分。後場に入っても資金が回りやすく、立会時間の後半でも相場が盛り上がりを見せる傾向があります」(岡三オンライン証券の稲田さん)。

 さらに、新制度が一般の投資家にもたらした影響を物語る数字がある。

 「一日信用取引を実際に利用して、回転売買をしている方の多くが、資産数百万から数千万円」(松井証券の鶴田さん)だというのだ。

 そもそも投資余力が数億円規模の大口投資家の場合、以前からそれほど資金を気にしなくても連続して取引が可能だった。だが、今回の新制度のおかげで、比較的資産が少ない人でも、気がねなく、活発に取引できるようになったのだろう。まさに2013年は、「信用大回転時代」スタートの年と言えそうだ。

 ただし、注意すべきこともある。新制度は、多くの投資家のチャンスを広げてくれたことは間違いない。しかし取引回数が増えればそれだけ「資金を失う機会」が増えるということも、忘れてはいけない。

デイトレードに適した銘柄情報もスタート

 個人投資家の「信用大回転時代」にあわせて、それをサポートするサービスも登場している。

松井証券は1月7日からデイトレーダー向けに「デイトレ適性ランキング」(下の画面)と、「デイトレ人気ランキング」を提供し始めた。これは、顧客から「どんな銘柄がデイトレに向いているかわからない」という問い合わせを受けて作ったサービスだという。

松井証券が提供を開始した「デイトレ適性ランキング」の画面例。毎日更新される。

 「デイトレ適性ランキング」では、値動きが大きく流動性が高い銘柄の情報が、営業日の12時30分ごろに更新される。「デイトレ人気ランキング」では、同社の信用取引におけるデイトレード売買代金ランキングが、営業日の18時ごろに更新される。

 これらの情報は、松井証券のWEBサイトと、同社の無料のメルマガ「松井証券マーケットプレゼンス」に掲載されている。信用取引でデイトレードをする際には参考になるだろう。

(取材・文/久保田正伸)

※証券会社のコメントは1月11日取材時のものです。

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