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ソーシャルウェブ革命の衝撃

効率重視のデル・モデルを否定!
米ザッポスの“反常識”経営

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第2回】 2008年7月10日
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 前回は新たな伝説となろうとしている米企業ザッポスを紹介した。今回は、これまで信じられてきた企業モデルとどこがどう違うのか、ひも解いていきたい。

 ごく最近まで経営の模範とされた企業にデルがある。小売を通さないダイレクト販売が特徴であり、サプライチェーン・マネジメントのお手本とまで言われた超効率経営が脚光を浴びた。

 在庫をできるだけ持たない注文生産(ビルト・トゥ・オーダー:built-to-order)により、顧客ニーズに細かく対応しつつ支払いの前に入金されることで運転資金がマイナスという点も注目された。

 しかし、株価は2000年のネットバブル崩壊から2004年終わりの高値まで上昇したが、そこから徐々に下がって今年はその半分になってしまった。業績も2006年あたりから踊り場に入り、2007年2月期は前期比で売上高はわずか2.7%増、当期利益は29.4%減となった。いったいデルに何が起こったのか。

 端的に言えば、コンピタンス・トラップ(強みのワナ)にはまり、市場の変化に対応できなかったのである。繰り返すが、デルの強みといえば、サプライチェーン・マネジメントのお手本とまで言われた超効率経営。ただ、その行き着く先は、戦略の選択肢が狭まることであり、限られた付加価値でのコスト競争であった。

 デルに商品を納める台湾のOEMメーカーの方が高い収益性を記録するという現象すらみられたのは、皮肉なものだ。サプライチェーンについてもヒューレット・パッカードやレノボに追いつかれて差がなくなり、ダイレクト販売に頼る売上げも頭打ちになった。その結果、ヒューレット・パッカードに首位の座を明け渡したのである。

 しかし、デル・モデルに刺激され、これにならって経営を考えている企業は少なくないだろう。もちろん、効率化では十分に参考になる。しかし、もはや限界がみえている部分がある。今回は具体的に何が変わったのか、何が限界をもたらすのか、ザッポスの企業モデルと比べながら考えてみたい。

研修終了時にはボーナス支給
コールセンター外注はもってのほか

 では、前回に紹介したザッポスとデル・モデルに代表されるこれまでの経営を比較してみよう。すると従来の常識(デル・モデル)に反するザッポスの次のようなやり方があげられる。

■反常識な在庫戦略

 できるだけ在庫を持たない経営がトレンドだ。オンライン販売でもドロップシッピング(ネットショップで注文が入った時点で、それをメーカーや卸売り業者から直送させる手法)が注目されている。しかし、ザッポスは5年前まで行っていたドロップシッピングをやめ、いまはゼロだ。

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本荘修二 [新事業コンサルタント]

多摩大学客員教授、早稲田大学学術博士(国際経営)。ボストン・コンサルティング・グループ、米CSC、CSK/セガ・グループ会長付、ジェネラルアトランティック日本代表を経て、現在は本荘事務所代表。500 Startups、NetService Ventures Groupほか日米企業のアドバイザーでもある。


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