「住民税非課税世帯への給付」が経済対策で繰り返される“隠れた”本質問題Photo:Pool/gettyimages

経済対策で「3万円」給付金検討
毎年のように住民税非課税世帯に給付

 石破茂首相は、11月内にまとめる物価高対応などの経済対策で住民税非課税世帯向けに3万円の給付金を配ることを検討しているという。

 昨年秋の岸田前政権の経済対策でも、所得税、住民税の定額減税(1人当たり4万円)と併せて住民税非課税世帯には7万円が配られた。「税の増収を国民に還元する」という理屈で、効果も疑問視されたが、ばらまきもここまで来ると節度なく行われるのかと感じたものだ。

 石破首相は自民党総裁選の議論でも財政規律重視を唱えていた。こうした安易な給付は行わないと思っていたので、少しがっかりした。

 振り返ってみると、コロナ禍の最初の2020年に当時の安倍政権が国民1人当たり10万円を給付したその後も、住民税非課税世帯向けに、21年と22年にそれぞれ10万円、23年夏に3万円、23年末から24年初にかけて7万円の給付が実施され、そして24年秋にまた3万円を配るということになる。

 なぜ、住民税非課税世帯に何度も給付金が出されるのか。実は、年金制度の大きな欠陥ともいうべき隠れた問題がからんでいる。

総世帯の24%が住民税非課税世帯
うち75%は「年金受給の世帯」

 そもそも住民税非課税世帯とは、一体どんな人たちなのだろうか。まずはきちんと調べてみる必要がある。

 厚生労働省「国民生活基礎調査」(厚生労働省、2022年)によると、21年で、総世帯の24.2%が住民税非課税世帯だ。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、24年の総世帯数は5696万世帯だから、その24.2%で1381万世帯と推定される。