今の福祉制度では、知的障害者には「健康で文化的な最低限度の生活」が十分に保障されているとはいえないのが実情。この現状を変えるヒントを探るべく、芸人・大川総裁が福祉の当たり前をひっくり返すプロたちに話を聞く。今回は「新しい性の公共を作る」という使命を持ち、射精介助サービス「ホワイトハンズ」を立ち上げた坂爪真吾さんに話を聞いた。本稿は、大川 豊『大川総裁の福祉論!――知的障がい者と“食う寝るところ、住むところ”』(旬報社)の一部を抜粋・編集したものです。
「障害者の性」の問題は
もっとオープンにすべき
大川 これまで「障がい者の性」にまつわる問題は、なかなかオープンに語られることがありませんでした。社会の中で情報が共有されてこなかったために、「何からどう語ればいいかわからない」というのが正直なところだったのではないでしょうか。
そんな中、坂爪さんは2008年に「新しい性の公共を作る」という理念を掲げて「障がい者の性」問題を解決するための非営利組織・ホワイトハンズを設立されました。現在はどのような活動をされているのでしょうか。
坂爪 男性重度身体障がい者に対する射精介助サービス(注1)や、風俗店で働く女性に向けた無料の生活・法律相談事業「風テラス」(注2)などを行っています。障がい者のご家族からの相談も受け付けていて、私たちでできる範囲で対応しています。
大川 障がいを持つ方のご家族にとって、性の悩みを相談できる窓口があるのはとても心強いことですよね。ホワイトハンズのサービスを利用する場合、料金はどのようになっているのでしょうか。
坂爪 サービス開始当初は有料でしたが、5年ほど前から無料にしています。
大川 え! 無料なんですか?