ハラスメントへの問題意識が高まるなか、「ハラスメントハラスメント」という新たな問題が浮上している。これは、部下が上司の指導を「ハラスメントだ」と主張し、上司を萎縮させる行為だ。適切な指導が困難になることで、職場全体のパフォーマンスが低下するリスクがある。健全な職場環境を保つため、正しい知識と対処法を知ろう。※本稿は、宮本剛志『「ハラスメント」の解剖図鑑』(誠文堂新光社)の一部を抜粋・編集したものです。
「ハラスメント」を逆手にとって
上司を萎縮させる部下が現れた
上司の適正な指導や通常の振る舞いに対して、気に食わないと何でも「ハラスメントだ」「訴えますよ」と言って上司を萎縮させるいじめ・嫌がらせのこと。上司がハラスメントに関する知識が不十分な場合、被害者になることがある。
・提出期日を守らない部下をデスクに呼び、「期日を守るように」と注意したところ、「デスクの前で注意するなんてパワハラだ」と反論してきた。上司は萎縮してしまい、部下を注意できなくなってしまった。
・抜け漏れが多い部下(女性)に改善を求めようと上司(男性)が個室に呼び出した。仕事の状態を確認しようとしたところ、部下から「個室に呼び出すなんてセクハラ!通報します」と言われてしまった。
・気に食わない課長に対して、部下が「課長との会話は全部録音しています。ハラスメント上司としてネットで公開しますから」と脅した。
部下がパワハラだと感じたら
それはパワハラになってしまう?
飲食店の店長Aさんは、部下のBさんに残業の指示や注意をするたびに、「残業指示するなんてパワハラ」「その注意の仕方はパワハラ」「録音しますよ」と言われます。