最下層からの成り上がり投資術!
【第220回】 2016年7月5日公開(2017年11月14日更新)
バックナンバー 著者・コラム紹介
藤井 英敏

日経平均株価の上昇トレンドは当分ない!?
7月19日に上場する東証マザーズ指数先物が
株式市場と個人投資家に与える意外な影響とは?

 その後の世界的な株式市場の値動きをみる限り、投資家サイドからすれば、「ブレグジット(Brexit)」の「リーマン・ショック級の世界経済への影響」を心配する必要はまったくなかったといえそうです。

 同時に、世界の株式市場は「ブレグジット」を、アッという間に、ほぼ完全に織り込んだともいえるでしょう。実際、震源地の英国では、7月1日のFTSE100種総合株価指数は前日比73.50ポイント高の6577.83と、前日付けた2015年8月以来の終値ベースの高値水準を上回って引けました。

 また、1日のNYダウは3連休を前に伸び悩んだものの、6月23日の終値1万8011.07ドルまであと61.70ドルと、ブレグジット決定以降の下落分をほぼ取り戻しました。

NYダウチャート(日足・1年) *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 そして、4日の日経平均株価は6日続伸し、前週末比93.32円高の1万5775.80円でした。「ブレグジットショック」で、日経平均株価は6月24日に1286.33円下落しました。しかし、翌営業日からの6日続伸で終値ベースの上げ幅は823.78円回復しました。

日経平均株価チャート(日足・1年) *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

世界的に円高、長期金利の低下が続き
日経平均株価だけがブレグジット前を下回る

 一方、円は対主要通貨で強い状況が続いています。1日のNY円相場は前日比70銭円高・ドル安の1ドル=102円45~55銭で取引を終えました。また、5日午前の東京外国為替市場では、10時時点では1ドル=102円35~38銭でした。6月23日のドル/円相場は1ドル=106円03銭でしたから、大幅な円高水準にとどまっています。

 また、世界的に債券も買われ、日米欧の長期金利が低下傾向を強めています。1日の日本の新発10年物国債利回りは前日比0.030%低下し、マイナス0.260%に低下して、過去最低を更新しました。英国も0.882%、ドイツもマイナス0.126%と、いずれも過去最低に近い水準です。そして、米国の長期金利は1日に一時1.378%まで低下し、4年ぶりの最低更新となりました。

 正直、安全通貨の円が対主要通貨で買われ、世界的な成長鈍化を織り込む格好で債券が買われる一方で、世界的な景気減速を織り込む格好で、世界的な株式市場が売られるなら分かり易いのですが、実際はそうはなっていません。円も債券も株式も同時に買われています。

 これは、現在の政治経済情勢を受け、日米欧の中央銀行の金融緩和政策が長期化し、世界的な金余りが継続し株式相場が堅調に推移することへの思惑が強いためと考えられます。だから、世界的に株式市場が戻り歩調を辿ったのでしょう。

 ただし、円高定着が影響して、足元の日経平均株価の戻りは、欧米の主要株価指数に比べて非常に鈍いことも事実です。

 欧米株式市場が、ほぼ全値戻しを達成しているのに、7月4日の日経平均株価の終値は1万5775.80円と、6月23日の日経平均株価終値1万6238.35円に対して、462.55円(2.85%)も下回っています。これは円高の影響で、自動車株など主力の輸出関連企業の戻りが鈍いことが影響しているからです。

円高でも欧米株が崩れない限り日本株も堅調だが
先高観がないため上昇トレンドもなさそう

 そうは言っても、当面の日経平均株価については、足元で堅調な欧米株が大きく崩れない限り、円高にもかかわらず、底堅い動きが見込めるとみています。

 テクニカル的には、日経平均株価の推移については25日移動平均ベースのボリンジャーバンドマイナス1σ(4日現在1万5555.67円)~25日移動平均線(同1万6088.28円)の「バンドウォーク」がメインシナリオです。

日経平均株価チャート(日足・1年) *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 しかしながら、このバンドを外れたら、下方向に放れたらマイナス2σの方向に下落し、逆に、上方向に外れたらプラス1σの方向に上昇する見通しです。なお、円高基調が続く限り、25日移動平均線を超えてプラス1σを目指し、上昇基調を辿ることはないでしょう。

 また、日経平均株価が上昇基調を辿るためには、先行きに先高観が強まることが必要です。

 通常の場合、相場に先高観が強まると、買いヘッジのニーズから先物が理論価格よりも割高に推移し始めます。そうなると、「先物売り+現物買い」の裁定買いが入り、日経平均株価現物指数の上げピッチが加速します。

 しかしながら、6月24日時点の裁定買い残高(期近・期先合計)は前週比1548億円減の8803億円と、12年1月13日時点の9924億円以来、約4年半ぶりに1兆円を下回りました。足元の日経平均株価に先高観がないため、実際の先物価格が理論価格に対して割高にならず、裁定買いが入らないためです。

 よって、この傾向(日経平均株価先物が理論価格を上回らない傾向)が続く限り、日経平均株価が上昇トレンドを描くことはないでしょうね。

7月19日に上昇する東証マザーズ指数先物は
流動性の向上につながるため個人投資家にはプラスとなる

 一方、東証マザーズ指数は5日前場は前日比13.91ポイント(1.32%)安の1042.66ポイントと、7日ぶりに反落したとはいえ、足元で堅調に推移しています。

東証マザーズ指数チャート(日足・1年) *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 4月21日に1230.82ポイントだったマザーズ指数は、6月24日の「ブレグジットショック」で828.77ポイントまで下落しました。しかし、それを底値に切り返し、終値ベースでは7月4日には1056.57ポイントまで回復し、25日移動平均線(4日前場現在1044.27ポイント)を上回っています。

 依然として、25日移動平均線(同16088.28円)を下回る日経平均株価とエライ違いです。非常に強いです。おそらく、日経平均株価に代表される主力の大型株がもたつくうちは、短期資金はマザーズに代表される新興・小型株への流入を続けるでしょう。

 さて、いよいよ、東証マザーズ指数先物が19日、大阪取引所に上場します。先物で現物の価格下落リスクをヘッジすることが可能になるため、国内外の機関投資家のマザーズへの市場参加が加速し、流動性が向上し、マザーズ市場の存在感が増す見通しです。

 ちなみに、2015年の投資部門別売買シェアでは、東証1部では個人が19.6%、海外が71.2%ですが、マザーズ市場では個人が73.3%、海外が21.4%です。

 マザーズ先物が上場すれば、裁定取引が可能になり、海外や国内機関投資家のシェアが上昇することが見込まれます。投資家層の厚みが増すことは、アクティブ個人好みのマザーズ銘柄には中長期的にポジティブに作用し続ける見通しです。

 そしてそれは、あなたが成り上がるスピードを加速させるかもしれません。よって、東証マザーズ指数先物上場は、あなたにとって、大いに歓迎するべきイベント(きっかけ)になりそうです。

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