最下層からの成り上がり投資術!
【第226回】 2016年8月16日公開(2016年8月23日更新)
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「最下層からの成り上がり投資術!」

著者・コラム紹介

最下層からの成り上がり投資術!

藤井英敏 ふじい・ひでとし

カブ知恵代表取締役。日興證券、フィスコ等を経て05年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「ザイ」をはじめ多方面に活躍中。

藤井 英敏

日銀のETF買い入れにより、今や日銀が仕手本尊に!
新興市場の人気低迷がこのまま長期化しそうな今、
日経平均株価などの指数採用銘柄を狙え!

 皆さんご存知の通り、日銀は7月28日および29日の両日、金融政策決定会合を開催し、ETFについて、保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行うことを決めました。

 しかし、ETFの買い入れ増額だけでは外国為替市場への影響はほぼ皆無なため、円が対ドルで高止まりしています。このため、外国為替市場では円高が進んでいるのに、日銀のETF買い(いわゆる“日銀砲”)効果で日経平均株価は下がりにくくなっています。しかも円高が是正されないため、投資家は上値追いには慎重になり、日経平均株価の上値も非常に重い状況です。

日経平均株価チャート(日足・1年) *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 日銀砲の影響で、市場ではNT倍率(日経平均株価をTOPIXで割った指数)が異常に上昇しています。日銀はETFの時価総額に比例して買い入れ金額を決めています。ETFの残高の時価総額は日経平均株価型のほうがTOPIX型より大きいため、ヘッジファンドなどは、日銀砲を先回りする形で「日経平均先物買い+TOPIX先物売り」のポジションを組んでいると観測されます。この結果、NT倍率が上昇しているのでしょう。

日経平均株価とTOPIXの比較チャート(日足・2カ月) *チャート画像をクリックし、飛んだ先の「比較する指数」で「TOPIX」を指定すると、最新の比較チャートがご覧になれます。SBI証券HPより

日銀の株式保有比率が極端に上昇する「官製相場」に。
日銀の買いを先回りする「日銀トレード」も増加

 物色面では、日経平均株価は単純平均型の株価指数なので、日経平均株価採用銘柄のうち指数寄与度の大きい値嵩株を集中的に買うトレードも加速しているようです。

 さらに、日銀は日銀砲発動の基準は公表していませんが、市場では前場のTOPIXがある一定割合下がれば、後場に買い出動すると見られています。このため、前場のTOPIXが安ければ先回り的な買いが入り、後場に日銀砲が入らないようなら、前場で買った投資家が投げるため、軟調になるという傾向が顕著です。

 日銀が、現行の日銀砲発動基準を変えない限り、当面、このような「日銀トレード」は継続するでしょう。また、円高にもかかわらず、バリュエーションを無視した株価形成も続く見通しです。

 そして一部の通信社の試算によれば、8月初旬時点で、日経平均株価を構成する225銘柄のうち75%で日銀が大株主上位10位以内に入っており、2017年末には日銀が筆頭株主になる銘柄数は55まで増加する見通しです。日銀砲発射により、日銀の株式保有比率が極端に上昇する、まさに「官製相場」です。

 これ自体は、多くの投資家(買い方)にとって悪い話ではありません。今までは、世界的なリスクオフになると、安全通貨の日本円が強烈に買われ、同時に、採算悪化懸念から主力の輸出株が叩き売られ、日経平均株価がバナナの叩き売りのようになる悪循環が続いていたからです。円高に振れても、持ち株の評価損が膨らまないのはラッキーです。買い方は、素直に喜べますね。

 想定を超えた円高が急激に進行する場合、本来なら、為替市場で円売り介入するのも手ですが、そのやり方は、事実上のドル安政策を執り続ける米国が許しません。つまり、直接的な為替介入はできません。だから、政府・日銀は、米国を含む諸外国に文句を言われない、国内株式市場への介入に踏み切らざるをえないのでしょう。円高→株安→資産デフレ→消費マインド悪化→デフレ深刻化という負の循環を断ち切るためには、現時点では、中央銀行によるETFを活用した金融調節の強化しかないんだと思います。

日銀砲のメリットを享受できない新興市場では
致命的なダメージを受ける投資家が増加

 ところで、市場関係者へのヒアリングベースでは、日銀砲のメリットを享受できない新興市場は酷いことになっているようです。とりわけ4月から5月にかけて、バイオ関連やゲーム関連の高値を掴んだ投資家の傷みが大変なことになっているそうです。

東証マザーズ指数チャート(日足・1年) *チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 信用取引で買った投資家の多くは、追証が断続的に発生する過程で「投げ」たようです。しかし、投げずに「現引き」した投資家や、最初から現物で買った投資家は、リスク許容度が高いことも災いして、足元までの下落にも耐えているとのこと。そして、その結果、致命的な投資元本のダメージを受けているようです。

 一方、新興市場を中心にデイトレードを行なっているデイトレーダー達も、市場関係者へのヒアリングベースでは、事態は深刻なようです。腰の入った買いが入っておらず資金の逃げ足が速過ぎるため、リバウンド狙いの買いを入れても上手く捌けず、逃げ切れないデイトレーダーが増え、結局、「損切り貧乏」が多発しているもようです。

日銀という巨大な買い手が登場した現在、
株価指数先物やオプション売買にもチャレンジしたい

 それはさておき、日銀という、これだけ巨大な買い手が出現したのです。そのメリットを享受できない新興銘柄を弄る理由は、正直、見当たりません。私は、東証マザーズを中心に新興市場の人気低迷は長期化し、同時に、流動性が枯渇した状態が恒常化すると見ています。

 投資家サイドからすれば、最も厳しいのが、この流動性枯渇です。買おうとすれば、現値からメチャクチャ高い価格でないと買えない。逆に、売ろうとすれば、現値から相当値を下げないと売れない。事実上、買いたいときに買えない、売りたいときに売れないのです。こんな市場には、まともな投資家は近寄りません。結果、人気離散状態が長期化すると考えます。

 逆に、日銀砲により流動性が供給され、流動性が向上する指数採用銘柄は魅力が増しています。指数寄与度の大きい銘柄群、日経平均株価に対するベータ値の高い銘柄、浮動株比率が低く日銀砲で市場に出回る株が品薄になる銘柄などが、特に魅力的な投資対象でしょう。

 正直、今のような官製相場は、市場のダイナミズムを奪うという意味で面白くありません。しかし、市場メカニズムに完全に任せると、日本経済のデフレ化が加速し、国益に適わないのだから、今は仕方ないと受け入れるしかないですね。

 最後に、日銀という仕手本尊が出現したんですから、今まで個別株売買がメインだった方で、それなりに知識と経験と度胸があるのなら、レバレッジETFだけでなく、株価指数先物やオプション売買にチャレンジするには絶好のタイミングだと思います。

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