評点(5点満点)

本書の要点

・ローソン代表取締役の玉塚氏は、「逃げてはいけない分厚い壁」に向き合うことが好きだという。

・糸井重里事務所での仕事はCFO篠田氏の天職である。「要するに、こういうこと」を見つけて言語化し、それが人の役に立つことを実感できる環境に、大きな喜びを見出している。

・グライダーアソシエイツの杉本氏は「ちょっと先の未来に必要と思われるもの」を大事にしている。

・ヤマトホールディングス代表の木川氏は銀行時代の倒産危機などの修羅場を糧に、改革を断行してきた。「粛々と手堅く」という経営は大嫌いなのだ。

要約本文

■「壁に向き合う」のが好き(玉塚 元一)
◇現場最適が大事

 ローソン代表取締役社長の玉塚氏は、向き合わないといけない壁から逃げたくないという思いが並外れて強い人物である。

 経営者になるための修行としてコンサルタントをしていた頃、ファーストリテイリングの柳井氏から、こう告げられた。「経営者や商売人なんて、コンサルタントがなれるもんじゃない。(お客様が)何も買わないで出ていってしまった。商品が魅力的じゃないのか。価格が高すぎるのか。それを悩み続けながら、胃の痛む思いをしながらやらない限り、経営者にはなれないんだ」。玉塚氏は大きな衝撃を受けたという。

 そんな玉塚氏が大事にしているのは「現場最適」だ。ローソンの商売は、お客様との接点である現場をいかに良くするかがすべてである。だからこそ、トップがいなくてもうまく回る仕組みをつくれる人材を育てることを重視している。

 組織が巨大化すると、本社は現場の発想から離れてしまいがちだ。そこで、机上の空論を叩き壊し、顧客接点のカイゼンに組織のエネルギーを注ぎ込みたいと、玉塚氏は意欲を見せる。

◇巨象相手でも戦い方はある

 慶應のラグビー部時代、玉塚氏は、泡を吹いてぶっ倒れるほどの厳しい練習を乗り越えてきた。ラグビーの強い高校から選手を呼べない大学であったために、逸材とは呼べないメンバーを鍛え抜くというポリシーだったのだ。その甲斐あって、関東大学対抗戦では全勝優勝という快挙を成し遂げた。この経験が「努力すれば巨象を倒せる」という玉塚氏の信念のベースになっている。