「空き家の実家」相続で後悔する人がやりがちなこと相続後も空き家のまま残りやすい状況が生まれているワケとは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「住宅・土地統計調査」(総務省・2023年)によると、全国の空き家数は899万5000戸に達し、過去最多を記録している。相続をきっかけに実家が空き家になるケースも少なくなく、空き家問題は多くの家庭にとって他人事ではない。空き家問題は、防災・防犯上のリスクなどの社会的な影響が語られがちだが、所有者にとっては放置すると税負担が確実に増える点も見過ごせない。起こり得る税負担と、生前にできる空き家対策のポイントを解説する。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

空き家の約6割が相続で発生
相続空き家の7割超が老朽化

 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」によると、空き家の約6割は相続により取得された住宅であり、親世代の死亡という避けられないライフイベントをきっかけに発生していることが明らかになっている。

 相続した住宅が空き家になる背景としては、「解体費用がかかる」「残った家財の片づけに手がつけられない」といった現実的な負担に加え、「将来、家族の誰かが住むかもしれない」「思い出の詰まった家を手放したくない」といった心情面の理由を抱えるケースも少なくないだろう。

 相続された空き家の老朽化も、無視できない課題の一つだ。調査によると、相続空き家の7割超が1980年以前の建築で、築年数が40年を超える物件ということになる。老朽化した家は、時間が経つほどに劣化が進み、売却や利活用のハードルが上がりやすい。結果として、相続後も空き家のまま残りやすい状況が生まれていると考えられる。