足元で、米国FRBの金融政策が窮地に追い込まれている。大規模な量的緩和策に対して、国内外から厳しい批判が出ており、今後FRBの政策のかじ取りは一段と難しくなるだろう。
FRBの政策に対しては、主に2つの批判がある。1つは、米国内の経済学者などから出されているもので、「量的緩和策の効果は限定的で、インフレのリスクが大きい」というものだ。
もう1つは、海外、特に新興国から出ている「米国の金融政策の影響で、インフレが持ち込まれる」という批判だ。
そうした状況下、FRBがかじ取りに失敗すると、その影響は米国のみならず、世界経済全体にマイナスの影響を与える。最悪のケースでは、米国景気が立ち直る前に、主要新興国でインフレ懸念が台頭して経済が急減速し、世界経済が再び危機的な状況に直面することも考えられる。
その場合には、経済状況が脆弱で、デフレから脱却できないわが国を、再び景気の大幅な落ち込みが襲う可能性は払拭できない。米国金融政策に伴う不透明要素は、世界経済が抱える最大のリスク要因の1つといってよいだろう。
日本経済を待ち受けているのは、天国か地獄か――。当分、FRBの金融政策から目が離せない。
住宅バブルの後片付けに追われ、
効果が不明確な金融政策を続ける米国
米国のFRBが、来年6月までに6000億ドルに上る国債を購入する、いわゆる量的緩和第二弾(QE2=Quantitative Easing)を実施せざるを得ない背景には、住宅バブルの後片付けが終了していないことがある。