非資源ビジネスの鍵を握るガビロン改革

 一方、企業が成長するためには新規投融資への資金配分も欠かせない。丸紅は今後3年間で総額1兆円の新規投融資枠を設定しているが、この1兆円を使い切る可能性は極めて低そうだ。実際、16年4~6月期の投資額は200億円足らずで財布のひもはかなり固い。

 むしろ今、丸紅経営陣が描く戦略は「すでに投資した既存事業の収益をいかに底上げするか」(國分社長)にある。丸紅は過去6年間で総額1兆4000億円を非資源事業に投資したが、その約半分で十分なリターンを得られていない。こうした不採算事業を今後いかに軌道に乗せるかが勝負の分かれ目となる。

 その代表例が、米穀物子会社ガビロンだ。

 13年に約2700億円の巨費を投じて買収したが、当初見込んでいた年200億円以上の利益貢献には程遠く、利益計画を毎期下回る。「本塁打量産を期待して獲得した外国人打者に、いまだにクリーンアップを任せられない」(丸紅社員)状況が続く。14年度には、のれん代の一部として約500億円の減損を計上した。

 原因はM&A(企業の合併・買収)で膨張してきた同社の高コスト体質にある。買収から3年間は経営を委ねてきた丸紅も、今年からついに本格的なてこ入れに乗り出した。

 まず今年3月にガビロンの経営陣を刷新し、リストラを断行。老朽化した集荷施設を売却し、コスト削減を進める。グローバルに展開する丸紅の穀物事業との相乗効果をいかに発揮させるかも課題だ。

 丸紅は18年度の目標に連結純利益2500億円を掲げ、実にその9割以上を非資源ビジネスで稼ぎ出す目算だ(図(4))。それを“絵に描いた餅”で終わらせないためには、ガビロンの立て直しは避けて通れない。

 輸出ビジネスが低迷し“商社不要論”が叫ばれた80年代、新興国の高成長に沸いた2000年代に対し、資源価格が下落して世界経済の不透明感が漂う現在を、丸紅は中計で「第3次ターニングポイント」と位置付ける。

 その時代の転換期を勝ち残ることができるのか。丸紅は正念場を迎えている。