マクドナルド売上上位店店長は、
アルバイトの面接で「ここ」を見る
【中原】友人紹介にしても、店長さんがしっかり面接をするわけですよね。面接をするときに心がけている点や、応募者についてチェックしている点はありますか?
【齋藤】一番は「あいさつ」です。明るくあいさつできる人かどうかを見ますね。次に、「主体性」をチェックします。何気ない会話、たとえば「趣味は何ですか?」というような質問から、どのようにその趣味にハマっていったのか話を聞く。すると、熱を入れてグイグイ話す人もいれば、「適当に話を合わせておけばいいや」という感じで面倒くさそうに話す人もいる。私は前者を採用します。
【中原】入ってほしい応募者を口説くときの「殺し文句」みたいなものはありますか?
【齋藤】「素晴らしい職場ですよ」と直接口にするというよりは、面接する部屋の環境を必ず整えるようにしていますね。具体的には、なるべく人を集めて、クルー同士が会話をしているところを見てもらう。実際、うちのお店のクルーたちは控え室ではいつもおしゃべりをしているんですが、その「いつもの環境」を面接のときもつくるようにしていますね。
【中原】素晴らしい。「環境に語らせる」ということですね。「あなたはこれからこういう職場で働くんですよ」と伝える。西村店長はどうですか?
【西村】私は以前、自分が面接をして「採用したい」と思った応募者にその連絡をしたら、「ほかに応募していたところに行くことにしました」と辞退されたことがあるんです。そのときはすごくショックで、「自分がお店の魅力を伝えきれなかったんだ」と反省しました。
それからは、「応募者がこのお店に何を求めているのか」「応募者は、時給では周りのお店より低いマクドナルドで働くことに、どのような価値を見出しているのか」を、会話の中からできるだけ引き出すように意識して面接をしています。応募者は主婦や学生、フリーターなど、いろいろな層の人がいます。すると働く環境に対して求めることも変わってきます。「何を求めているのか」を引き出して、それに応えられるような面接を心がけています。
【中原】へー。齋藤店長も「本人が希望する働き方」を聞いて、お店の魅力を伝えることは意識されていますか?
【齋藤】はい。立川伊勢丹店の周りには大学がいくつかあって、応募してくる人も、初めて一人暮らしを始めたばかりの人が多いんです。大学の入学直後は友達がいなかったり、いたとしてもまだ、大学のオリエンテーションでちょっと話しただけだったりする。そんな人たちには「仲間ができるよ」というフレーズは気になるようですね。マクドナルドにはいろいろな年代の人がいますし、地元の人もいれば、遠方から来て一人暮らしをしている人もいる。だから「仲間がいっぱいいるから大丈夫」という話はするようにしますね。
【中原】なるほど。今回の調査では、面接で受かっても断ってしまう人の割合、つまり「アルバイトの内定辞退率」がなんと25.2%という結果だったんです。その背景として、応募者の40%以上が、2つ以上のアルバイト先に応募しているんですよね。
こんなふうに「人の採り合い」になっているなかで、お2人の店長は、マクドナルドが提供できる価値ややりがいを、応募者のニーズに翻訳して伝えている。だから新しい人がどんどん採れるし、定着率も高いんですね。
(第2回に続く 10/5配信予定)