「アルバイトの人手不足」が話題になって久しい。現場ではいったい何が起こっているのか?今回、大手外食チェーン店の現場で奮闘する3人の店長にお集まりいただき、都内某所で「店長覆面座談会」を開催した。
聞き手は、テンプグループとともに、全国約2万5000人を対象としたアルバイト雇用調査を行い、『アルバイト・パート[採用・育成]入門』(ダイヤモンド社)を刊行予定の東京大学・中原淳准教授。
全4回でお送りしてきたこのシリーズもいよいよ最終回。10年間で有休取得はわずか1日など、過酷な現場で働きながら日々抱えている思いのたけを語っていただいた。(構成/高関進)
店長ならでは!――これが喜び
【中原淳(以下、中原)】お店の雰囲気をよくするために、どんな工夫をなさっているのでしょう?
【C店長】まずは言葉です。接客用の言葉遣いができてない部分が見受けられるので、そこはまずしっかりしようと話しています。あとはお辞儀をしっかりするとか、お客さんに見えるところだけでもきれいにしようとか。
それで人が育ってくれたら私もうれしいですし、アルバイトさんも続けていってくれるのではないでしょうか。まあ、まだ完全にできているわけではないので、「そうしていけたらな」という話でもあるんですが(笑)。
【A店長】工夫というほどではないですが、まず店長である自分自身が楽しくやるのが一番です。「おれについて来い」というよりも、できるだけ自分が大学生の目線に近づいて、ちょっと楽しい感じを演じながら仕事の話もしつつ、学校の話もしつつ。
【中原】ある意味、店長も「役者」というか、演じないとダメなんですね。
【A店長】そう思います。とくにうちのような学生メインの職場では、そういう努力がないとやっていけないという気持ちがありますね。主婦の人なんかがいれば、それはそれで違うんでしょうが……。
【B店長】うちでやっているのは、「みんなでこれだけの売上を目指そう」と共通の目標をつくることですね。社員である我々から見たら、そんなにすごい目標である必要はないんです。目標を超えたときには、自分が心から「すごい!こんなに売れたじゃん」と言って褒める。まわりのアルバイトたちも「今日はこんなになったんだ!」って喜びますし、やりがいも出るので。こまかい数字って意外に喜んでくれるんです。ほめ方に段階をつけて、どの段階で誰の心に響く・響かないということは自分なりに整理しています。
【A店長】アルバイトの子は社会経験もないので、私は仕事を教えるというよりも、人として、社会人として成長してほしいという考えで接しています。なので、たまに「先生」とか言われちゃったりして(笑)。
彼らは学生なので「いつまでも店にいてほしい」とは思っていません。その子たちの今後の成長を考えて接することが、結果的には定着につながるのかなと思います。仕事を覚えてくれたこと、成長してくれたことにうれしさを感じる。「前はできなかったのに今日はできたね」「じゃあ今日はこれやってみようか」と段階を踏んで、本当にお店をまわせるような立場になってくれると、やりがいを感じます。
【B店長】1年生や2年生で入った子が、卒業まで残ってくれるとやっぱりうれしいですね。