エヴァのガイナックスはなぜスバルと組んだ?<br />美少女アニメ「放課後のプレアデス」誕生秘話(下)「すばる」の全身画

 もうひとつの理由は、スバル(富士重工業)がものづくりにこだわる、根っからの技術屋集団であり、トヨタ、日産、ホンダなどと比べると会社規模が小さいことだ。ガイナックスは日系アニメ業界のなかでビッグネームではあるが、東映アニメーション、バンタイ、スタジオジブリなどに比べると、スバルの事業姿勢にも通じるような「(非効率的なこともあえて貫いてしまうような)ものづくりに没頭する特殊な集団」という側面がある。だから、ガイナックスはスバルに対して、「似たもの同志」というイメージを抱いたのだ。

 そして、今回の「放課後のプレアデス」の監督には、ガイナックス社内で佐伯昭志氏を指名した。同氏はこれまでに、「まほろまてぃっく ただいま」、「これが私のご主人様」で監督、「ストライクウィッチーズ」、「天元突破グレンラガン」の脚本・絵コンテ・演出を担当したことがある。高橋氏は「彼は社内でも、純粋な内容のオリジナル作品の創作では定評があります。それに加えて、(富士重工業の前身の)中島飛行機について戦時中のエンジン詳細まで知り尽くしているほどのメカ好きです」という。

 結果的にスバルにとって、スバルに理解の深いプロデューサーと監督がガイナックスにいたことが幸いした。

 こうして始まった、スバルxガイナックスのコラボ。その初期、今年5月前後の成り行きに関して、本稿で詳細を掲載するかどうか、筆者は悩んだ。なぜならば、その部分については、富士重工業側が筆者の取材の際に全く触れなかったからだ。

 対して、ガイナックス側は制作者の立場として、事の成り行きを明確にしたい、という思いがあり、プロジェクト初期についても説明してくれた。

 本稿は富士重工業/ガイナックス両社取材後、ゲラ(仮稿)状態で先方への事前チェック要請は行っていない。そのため、筆者の判断で書く内容が、2社が取材を受諾した際の「思惑」と食い違ことも考えられる。

 だが、本稿には「定常的な収縮傾向にある日本の新車市場で、類稀な異業種コラボが市場活性化への『特効薬』になるかもしれない」という筆者の思いがある。その執筆の過程で起こった、富士重工業/ガイナックスの間での「迷い」、「激論」、「融和」については、明確に記載するべきだと考える。これが、「放課後のプレアデス」という作品のウエブ上映に対して、ネガティブな要因にはならないと信じる。

 以下、そうした筆者判断のもとに、本稿を続けたい。