孫正義氏の「一発OK」を次々に取り付けた伝説的プレゼンテーターで、ベストセラー『社内プレゼンの資料作成術』著者の前田鎌利氏。彼が講師を務める「ダイヤモンド社プレミアム白熱講座」の開催まで、いよいよ1ヵ月を切った。今回は白熱講座に先立ち、前田氏が「社内プレゼン」の極意を語る。
多くの社長が、意思決定の最終段階で「数字」以上に重要視しているものとは?また、前田氏が振り返る「史上最悪の面談」とは?社内プレゼンで「100%一発説得」を勝ち取るためのヒントが詰まった第2回!(構成:前田浩弥)

社長は「情熱」の有無で意思決定をする

 研修やコンサルでいろいろな企業と関わるなかで、気づいたことがあります。
 それは、世の中の社長のほとんどが、意思決定の根拠として、「数字」以上に「情熱」に重きを置いているということです。

 社内プレゼンで一番大切なのは、「情熱」なのです。

 もちろん、提案内容がいいものであることが大前提ですが、意思決定の最後の最後の決め手になるのは提案者の「情熱」が本物であるかどうかなのです。これは、当然といえば当然です。億単位のお金であれ百万単位のお金であれ、社長はそれなりの経営資源をその提案に投資するわけです。「提案者がその企画を最後までやり切ってくれる」ことに確信がもてなければ、その提案に賭けることはできないからです。

 では、社長は、「情熱」の有無をどこで判断するのでしょうか?
もちろん、提案者が放つオーラ、迫力などすべてがその判断を左右しますが、なかでも重要なのが、提案者の「目」です。「目は口ほどにものをいう」と言いますが、まさにそのとおりで、提案者が本気かどうか、多くの社長は、目を見て感じ取るのです。

 孫正義社長もそうでした。
 私は孫さんに何度もプレゼンをしましたが、孫さんは私が映し出すスライドより、私の目をじっと見ている時間のほうが長かったように思います。私自身、管理職として部下のプレゼンを聞くときには、その「目」をじっと見たものです。それで、「嘘をついていないかな」とか「本当にこれ、最後までやり切れるの?」というものを判断しようとしているわけです。