新宿区には110の商店街がある。人口12位ながら、商店街の数は第4位。かつて新宿区は東京有数の人口集積地だった。1925年(大正14)年の人口を、今の23区のエリアに合わせて計算すると、何と2位。その数は34万人で現在よりも多い。

 当時マンションなどなかったから、人家ははるかに稠密で、ここから生まれる需要が数多くの商店街を生んでいったのだ。そこには新宿駅周辺の賑わいとは異なる、新宿区の商店街のもう1つの顔がある。

「モンスターの顔」を見せる新宿の商業集積地
大型店、チェーン店、買回品店が目白押し!

新宿区の商店街――“モンスターの顔”の裏には、人や伝統を育む“優しい顔”もある

 東京都では、「商業統計」を商業集積地区別に再集計している。これによると、東京23区には716の商業集積地区がある。その小売販売額第1位は新宿駅東口。2位の銀座を挟んで、3位は新宿駅西口。東西合わせた新宿駅周辺の小売販売額の合計は、区全体の7割に迫る9148億円に上る。

 新宿区以外でこれより販売額が大きいのは、中央区と渋谷区だけ。残る20区は、区全体で勝負しても新宿駅周辺の一画に及ばない。

 新宿駅東口には、店舗面積1000㎡以上の大型店が25店ある。これも716の商業集積地区のトップ。区全体で見ても新宿区には大型店が多く、店舗数も販売額も23区で最多を誇る。

 大型店だけではない。コンビニ、ドラッグストアの販売額は共に2位。コンビニやドラッグは面積の広い住宅区に多いという傾向があるなかで、新宿区の販売額の大きさには注目される。

 ところで、コンビニもドラッグもそのほとんどがチェーン店だ。そう言えば、マック、モスバーガー、松屋、サイゼリア、ユニクロのいずれも、店舗の数は新宿区が一番多い。チェーン店が多いことが、新宿区の商業の第2の特徴と言えそうだ。