谷崎潤一郎・バタイユが描くエログロの世界
また直接的な影響を受けたか定かではないが、「痴人の愛」「春琴抄」で知られる谷崎潤一郎のエログロな世界観に似た作品を描いた哲学者がいる。
人の視線・眼球とエロスにこだわった「眼球譚」という作品を描いたバタイユという哲学者だ。
この「眼球譚」は殺人・眼球フェチ・性描写と目を背けたくなるようなエログロ要素がふんだんにつまった作品である。
バタイユは「エロティシズム」という哲学書を書きながら、「眼球譚」という小説も残している。
哲学者が記した文献は学術書だけに限らず、純文学作品も多く存在しているのだ。
中でも「生の哲学」を追求した実存主義哲学者たちの教えは人生哲学とも捉えることができるので、小説としてその思想・生き様を表現することが最も適しており、人物像から読み解くことでより理解が深まるのではないだろうか。
原田まりる(はらだ・まりる)
作家・コラムニスト・哲学ナビゲーター
1985年 京都府生まれ。哲学の道の側で育ち高校生時、哲学書に出会い感銘を受ける。京都女子大学中退。著書に、「私の体を鞭打つ言葉」(サンマーク出版)がある