世界的な資源インフレの背景にある
先進国の金融緩和

 世界的な資源インフレの起点は、先進国の金融緩和である。いつの世も金融政策の影響は甚大である。たとえば、2001-06年に実施された日銀の量的緩和は、日本の単独政策であり、円の独歩安と日本の物価上昇というわかり易い成果をもたらした。

 ところが、今次局面におけるFedの量的緩和は、日本や欧州など他の先進国を巻き込んだ政策であり、その影響は複雑で時間と共に波紋を広げている。

 為替市場においては、先進国で一斉に通貨安の圧力が発生したために、主要通貨間の為替レートは動きが鈍い。ところが、新興国や資源国では一斉に通貨高の圧力が発生している。

 また、インフレ指標に関しては、先進国経済が依然として大きな需給ギャップを抱えているために、デフレ圧力が根強い。ところが、物価連動債に織り込まれる長期の期待インフレ率は上昇傾向を辿っている。

 先進国の一斉的な金融緩和政策が明確に引き起こしているのは、国際商品市況の高騰と言う現象である。特に、金価格が最高値を更新し続けている背景には、通貨代替としての側面が影響している。