白川前総裁の時代から始まったETF購入。後任の黒田総裁は、その規模を拡大し続けている Photo by Ryosuke Shimizu

日本銀行が6年近く続けてきたETF(上場投資信託)の購入策のために、個別銘柄で間接的に日銀が“大株主”になるという状況が生じている。ここでは、市場に広く流通し、日々売買されている「浮動株」で見た場合の間接保有状況の上位50社を一覧にした。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)

 「週刊ダイヤモンド」12月10日号の「日銀“大株主化”のいびつ」(ダイヤモンド・オンラインにも転載)では、日銀によるETF(上場投資信託)を通じた個別銘柄の間接保有状況と1年後の姿を示した。

 同記事では、日銀による時価総額ベースの間接保有率をニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストに試算してもらい、上位30社を誌面に掲載した。

 その反響が大きかったことから、今回はさらに、市場に広く流通し、日々売買されている「浮動株」で見た場合の間接保有状況の上位50社を一覧にした。

 その結果が次ページの表の通りだ。総じて、時価総額ベースのものよりも、保有率がかなり高くなっている。

 例えば、日銀の間接保有率が最も高いファーストリテイリングでは、1年後にこの比率がなんと6割超にまで高まる見通しとなった。このまま日銀が日経平均連動型のETFを買い進めると、数年後には買える株がなくなってしまう状況にあるのだ。

 他の銘柄を見ても、例えば日銀の間接保有率が2割を超える銘柄は表の50社のうち、足元では3社あるが、これが1年後には13社に増える。しかも日銀はETF購入をこれから何年もの間、続けるとみられており、株式市場での存在感はますます高まっていく。

 株価が経営の実態以上にかさ上げされ、「株価指標をゆがめている」といった批判も多い。最近ではTOPIX(東証株価指数)が午前の取引で前日終値より少しでも下がると、日銀が700億円規模の巨額の買い入れを繰り返す日々が続いている。いつかETFを放出する必要にも迫られるはずだが、こうした出口局面に向けたリスクも高まるばかりだ。