中国最大のパソコン(PC)メーカーであり、世界第4位のシェアを持つレノボ・グループ(聯想集団)と、日本市場でシェアトップのNECが、PC事業で戦略的提携に踏み切り、合弁会社を設立する。「週刊ダイヤモンド」の独占取材に応じたレノボの楊元慶CEOが、日中のトップメーカー同士の歴史的提携の狙いを語った。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 前田 剛)

楊元慶(Yang Yuanqing)
1964年中国安徽省合肥市生まれ。89年、レノボ(当事の社名はレジェンド)入社。94年、PC事業の統括責任者となり、2001年、レノボ・グループCEOに就任。04年、会長に就任するも、リーマンショックで低迷した業績を立て直すべく、09年、CEOに復帰。レノボを3四半期連続の最終赤字から見事な復活へと導いた。
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──交渉の経緯は。

 交渉の席に着いたのはおよそ9ヵ月前。詳細な経緯については話せないが、とにかく、NECとは互いに「ひと目惚れ」だった。

──どんなところに魅力を感じたのか。

 日本のPC市場が米国、中国に次いで世界で3番目に大きく、NECがその日本でナンバーワンブランドだという点だ。市場で収益性を確保するためには、ナンバーワンであることが非常に重要になる。だからこそ、私はいつも「どんな市場においてもトップシェアを目指せ」と社内を鼓舞している。

 さらに、日本だけでなく、レノボはグローバルにおいてもPCナンバーワンブランドになることを目指している。今回の合弁は、その最終目標に向けてのステップだ。

──確かにNECは日本のPC市場ではトップだが、PC事業の損益はほぼトントンで、決して収益性が高いとはいえない。

 PC事業は、スケールメリットの追求が不可欠だが、NECの現状の事業規模でそれを追求するのは難しい。だが、レノボと提携することでスケールメリットが生まれ、資材調達などにおいて有利になるだけでなく、サプライチェーンの効率化を進めることもできると考えている。

 レノボにとっても、NECの数百万台分が加わることで、資材調達では価格交渉力をさらに強めることができる。