奄美のブランドを守れ
住民が反対運動を展開

 日本政府は今、2020年にクルーズ船で入国する外国人旅客数について100万人達成を目標に掲げている。国土交通省によれば2015年1年間の日本の港へのクルーズ船寄港回数は1454回で過去最多。うち外国の企業が運航するクルーズ船寄港回数は965回と急増、前年比で280回も増加した。

 広島大学大学院総合科学研究学科のフンク・カロリン教授は「日本でも奄美大島で反対の声が上がった」とし、「経済効果を期待するあまり、日本では反対の声は少ないが、こうした声はこれから多く出てくるのでは」と警鐘を鳴らす。

 鹿児島県と沖縄本島の中間に位置する奄美大島は、風光明媚な観光地として高い人気を誇るが、その奄美大島に、上海を出航地とする中国人客を乗せた巨大クルーズ船「ロイヤル・カリビアン」の寄港地開発計画が浮上した。奄美大島龍郷町の浜に「350メートルの桟橋を建造する」という内容に、今年、住民が反対運動を展開したのである。

 住民は、乗客5400人と乗組員2100人を収容する22万6000トン級の巨大クルーズ船が寄港すれば「龍郷町の手つかずの自然が失われる」と危機感を募らせた。「龍郷湾を守る会」のサイトからは、「龍郷町の人口は約6000人であり、その数に匹敵する乗客乗員への対応など不可能」という危惧感が垣間見られた。

「このままでは奄美ブランドが低下する」というのは、地元住民の切実な訴えでもあった。中には「雇用拡大や移住促進のために行おうとしているクルーズ誘致が、かえってこれを遠ざけてしまう」という声もあった。

 こうした反対運動を経て、龍郷町は今年7月に「クルーズ船の受け入れ断念」を表明する。住民の熱い闘いが実を結んだ形となった。