米国経済はゆっくりながらも回復している。2008年9月のリーマンショック以降、FRB(連邦準備制度)はバランスシートを拡大して強烈な金融緩和措置をした。10年11月にも、追加的な金融緩和を決めた。
マーケット関係者は、これを2度目のQUANTITATIVE EASINGからQE2として、豪華客船のクィーンエリザベス2世号をもじっている。このため、マネーが大量に米国内に供給され、そのおかげで、米国は景気回復している。
FRBは、雇用の確保にも責任をもっているが、雇用状況は徐々に改善してきた(図1)。
ところが、そのマネーが新興国に流れて、食料価格や商品価格の高騰を招いているといわれる。識者もそう解説するし、マスコミもそれを鵜呑みにして報道する。さらに、中東の動乱までQE2のせいであるという人まででている。はたして、QE2が世界にバブルをまき散らしているのだろうか。
国際金融のトリレンマ
固定相場制と米国の金融緩和の関係
中東の動乱はさておき、QE2によって余ったカネが新興国に流れたという見方は、マクロ経済学から見るとかなり問題だ。