経営×経理
米津良治(よねづ・りょうじ)
1983年生まれ。上智大学法学部卒。税理士。税理士法人ファーサイト・パートナー。上場企業にてIR職、経理職等を経て現職。企業勤務時代に社内横断の業務プロセス改善プロジェクトの中心メンバーとして活動したことをきっかけに、業務効率化にこだわりを持つ。早くからクラウド会計の優位性に着目し、研究を開始。わずか1年で30社以上のクライアントにクラウド会計を導入した実績を持つ。

米津 捻出した時間で、どのような営業をされたのですか?

高島 同業者の集まりなどに出席できるようになったことに加え、既に取引のある飲食店が参加している経営者組合の店舗を持った会員などに紹介していただきました。それによってたとえば福岡の大きな小売チェーンや飲食チェーンに同社商品が新しく入り、売上が伸びました。クラウド会計導入前後で、委託販売先1件、直営販売先1件、卸売先2社、それぞれ増加しています。

土井 クラウド会計導入前までは、バックオフィスを担当する人は雇っていなかったのですか?

高島 雇っていたこともあったそうですが、信頼して任せられる人材がなかなか見つけられなかったようです。

河江健史[公認会計士] 一般論としては確かに、地方によってはそもそも雇用対象となる人材が少なく、オーナーが管理業務を抱えてしまうという問題が起こりがちです。人がいないから、オーナー自ら売上などを管理するしかなかったわけですね。

高島 オーナーは毎日焼肉店に出ていますから、開店後は何もできません。そのうえ午前中は前日の集計作業に追われていましたので、その時間をなんとか効率化できないかと考えていたわけです。

既存業務をクラウド化する正しい手順は
「使う人が多いものを後回し」にすること

 バックオフィスの人手が不足していても、クラウド会計の導入で経理の仕事が整理されたことで効率化に繋がり、空いた時間を営業活動に充てることで拡大に成功した。とはいえ、最新のITツールを職場に導入するには抵抗が起こったはず。どのような手段で既存業務のクラウド化を進めたのか。

高島 まずエクセルソフトで処理していた会計業務をクラウド会計ソフト(*)(OKK FOODSが使用したソフトウェア・周辺機器は記事末でまとめて紹介しています)に置き換え、レジシステムを見直しました。

 レジについてはこれまでどおりタブレットレジ(*)と連携させ、次にインターネットバンキングとクレジットカードとの連携に取りかかりました。それまではビジネスとプライベートのお金が明確に区分されていなかったので、それを整理してから自動連携させたのです。

 帳簿付けでは、それまでエクセルで作っていた請求書をクラウド型請求書ソフト(*)に切り替えました。これで見積もりを合算し、合計請求書が簡単に作れるようになりました。

 また、パートさんのタイムカードをクラウド型の勤怠システム(*)に変え、給与計算のためにクラウド型給与ソフト(*)を入れて、両方共にクラウド会計と連携させました。これによって、月末から2週間ほどで前月の損益を出せる仕組みが整いました。

Special Columns

土井貴達 どい たかみち

1973年生まれ。関西大学商学部卒。公認会計士・税理士。 土井公認会計士・税理士事務所代表。2012年に大手監査法人金融部を退所し、独立。 監査法人勤務時代に実施していた取引先企業への貸付金、有価証券の査定業務に係る監査、 コンサルティング業務などを通じてあらゆる業種に精通。 独立後も、企業融資のサポートを得意としている。 独立直後からクラウド会計の導入を始め、クライアント企業への導入サポートは数十社に及ぶ。

米津良治 よねづ りょうじ

1983年生まれ。上智大学法学部卒。税理士。税理士法人ファーサイト・パートナー。上場企業にてIR職、経理職等を経て現職。企業勤務時代に社内横断の業務プロセス改善プロジェクトの中心メンバーとして活動したことをきっかけに、業務効率化にこだわりを持つ。早くからクラウド会計の優位性に着目し、研究を開始。わずか1年で30社以上のクライアントにクラウド会計を導入した実績を持つ。

河江健史 かわえ けんじ

1979年生まれ。早稲田大学商学部卒。公認会計士。河江健史会計事務所代表、FYI株式会社代表取締役。 監査法人、証券取引等監視委員会等での勤務を経て現職。 「クラウド会計は人材不足に悩む中小企業の救世主」という思いのもと、クライアントへの導入を進める。 主な共著に『リスクマネジメントとしての内部通報制度:通報窓口担当者のための実務Q&A』(税務経理協会)、 『国税庁「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組み」徹底対応 税務コンプライアンスの実務』(清文社)、 『インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社)などがある。


「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?

2012年頃に登場し、わずか5年で100万社以上の企業が導入している「クラウド会計」。GmailやDropboxがあたりまえのようにビジネスの現場に普及しているように、今後、会計・請求・給与・経費精算などのバックオフィス系だけでなく、 顧客管理や在庫管理などあらゆる経営リソースがクラウド化していくことは間違いないと見られている。本連載では、クラウド会計をどう活用するか、企業の事例を中心に『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』(ダイヤモンド社)の著者の3人の税理士がインタビュアーとなって紹介する。

「「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?」

⇒バックナンバー一覧