東京・吉祥寺にある羊羹と最中だけを扱う「小ざさ(おざさ)」。わずか1坪の店ですが、年商は3億円。早朝から行列ができる名店です。

 本書は、78歳の「小ざさ」社長が、40年以上とぎれない行列秘話を書いたものです。担当編集は、ダイヤモンド社きっての「熱い」編集者、寺田庸二君。後編となる今回は、印象に残る書名やカバー写真の誕生秘話から書店員さんとの交流まで、「濃い」話を幅広く聞くことができました。(前回記事はこちら

処女作へのこだわり

―― この本には、「こんな人がいたんだ」って素直に感動しました。それと本のつくり全体に愛情がこもっている!

寺田 そう言っていただけるとうれしいですね。やっぱり僕の場合、魅力的で大好きな著者と仕事をしていきたい、というのがあります。どうしても、子どもを育てるように、愛情たっぷりになりますね(笑)。

第一回『1坪の奇跡』(後編)<br />カバー撮影は15分1本勝負!<br />奇跡の詰まった78歳処女作はどうやって生まれたか?すでに3刷を達成した『1坪の奇跡』。本人曰く、「自分史上、最も短いタイトル」。

 2003年12月から、「処女作著者13人連続重版」と、全処女作著者との重版記録が続いています。これは、生涯こだわっていきたい記録です(笑)。今後も続々ラインナップが進んでいます。

 でも、この「小ざさ」本は、ビジネス書というよりも、読み物的な本として出そうと思ったときに少し迷いました。ビジネス書だったら経験があるので、書店で置かれる棚の位置がイメージできますが、読み物となると、若干イメージできませんでした。しかも自身史上最短タイトル5文字勝負の本はなかったので、かなりの冒険でした。

 でも、人物の素晴らしさと本書が後世の人たちに与えるインパクトを重視。多くの人に読んでもらいたいという想いが強かったので、当初の企画どおり、読み物的な本づくりに徹しました。それがこの本にとって一番いいと思ったのです。

 もし、「小ざさ」で連続重版記録がとぎれるならとぎれてしまえ! 精一杯やった結果なら、それも本望だと思ってつくっていました(笑)。自分はこの本にそれだけ気持ちをこめてやっている。もし売れないならそれまで。ただ、絶対売ってやる! と。それだけこの本と著者に惚れ込みましたね。