かつて「日の丸半導体」の名を世界に轟かせた日本勢は、今や激しい競争に疲弊し、DRAMを諦めてシステムLSIに特化する戦略転換を図っている。だが、いつまでたっても利益を生めない。競争力喪失の元凶は工場稼働率だけではなく、設計力の劣後にありはしないか。半導体各社の攻防を俯瞰した前回のレポートに続き、今回は産業ピラミッド構造の最下層に位置する日本勢の「弱点の本質」に斬り込む。(取材・文/『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)

「産業ピラミッドの最下層」

 未曾有の世界不況は、半導体産業にも暗く長い影を落としている。

 2008年9月のリーマンショック以降、PC、携帯電話、AV、自動車などすべての機器において需要が世界中で蒸発し、基幹部品である半導体需要は真っ先に細り、在庫の山を積み上げた。

 さしもの米インテルも、08年第4四半期の売上高は82億ドルと前年同期比で23%の減少となり、最終利益に至っては2億3400万ドルと、同じく前年同期比で90%も下回った。

 09年第1四半期も減収減益は続き、売上高は71億ドルと前年同期比で26%減少、最終利益は6億4700万ドルで55%減少となった。

 日本の大手半導体の打撃はさらに深刻だ(右図参照)。

 08年度決算は、東芝の半導体事業が2799億円の営業赤字(売上高1兆0232億円)、ルネサステクノロジが2028億円の最終赤字(売上高7027億円)、NECエレクトロニクス(NECEL)が830億円の最終赤字(売上高5464億円)を計上する惨憺たる結果で、本体や親会社の屋台骨まで大きく揺るがした。