さらに、これらの商品は、小売店・卸売にも在庫があるはずで、財務諸表に載っているよりも、さらに、完成品の在庫が残っている可能性が高い。
極端なことを言えば、この在庫を持っている期間の分は、生産はストップしても、実質的な損失は思ったよりも小さい可能性がある。もしも、この期間、在庫が全部捌けて、売上げが維持できるなら、企業収益は見違えるほどよくなることさえ考えられることになる。
もちろん在庫の中には、売れ筋でほとんどないものもあれば、動きが鈍く在庫が多すぎるものもあろう。在庫が多すぎるものに対しては、貴重な部品を割り当てられないし、当然、つくらないことになる。つくらなければ、当然、部品は余る。製品レベルで違うものでも部品のレベルから見ると共通のものは多く、それをいま必要なものをつくることに活用できる。
市場の売れ行きをチェックして、売れ筋で在庫の少なすぎるものだけに、限られた部品を活用する。売れ筋の商品は供給し続けながら、一方で、動きが鈍い商品はつくらないので、消費された分だけ、動きが鈍い在庫は減っていく。
部品の協力業者にも、本当にいま、必要なものを伝える。それにより、限られたキャパシティをいかに有効活用するかを全体最適で考えていく。いま必要ではないものをつくっても、在庫となるだけで、資源のムダになる。ムダなものをつくると、かえって限られたキャパシティを使ってしまうので、いま必要なものがつくれなくなる。限られたキャパシティを、いま必要なものだけをつくるように、つくる側、使う側が垣根を越えて全体最適で考えていく必要がある。
いま、必要のないものを買いあさることは、大きなムダとなる可能性が高い。過剰な部品の在庫は、財務諸表に棚卸資産として滞留して、自らの収益を蝕むことになることに気がつけば、戒めるべき行動であるのがわかるであろう。