このやり方は――未だ、発展途上の過程にあるとはいえ――非常にスマートで、将来の災害支援のあり方すら変えてしまうような可能性を秘めている。「オープン」かつ、「整理」された情報が存在すれば、何も特定の組織が情報を取りまとめる必要はない。そんな可能性を示唆していているのだ。
情報を選別するのは誰か?
盛り上がるキュレーションサービス
現在、「キュレーション」というコンセプトがキーワードになっている。近年のインターネットサービスの中では、「まとめ」と訳されることが多いが、特定の文脈の中で、情報を選別する行為を指す。
インターネットを通じてありとあらゆる情報が拡散されるようになってから、検索をしても必要な情報が見つからず、また、ソーシャルネットワーク上でフィルタリングをかけても情報があふれ出すようになった。メールの受信箱があふれかえっている人も多いのではないだろうか。インターネットの進化に人がついていけないという大きな誤算が起きてしまったのだ。
こうした現実の問題を反映して、キュレーションをキーワードにしたサービスが続々と立ち上がりつつある。あふれんとするツイートをまとめ、トピックごとに整理できるようした「まとめ」サービス “togetter”(http://togetter.com/)。互いの評価を集約し、情報の選定に活用するQ&Aサービス “Quora”(http://www.quora.com/)。これらは新興のサービスだが、日本でも比較的知名度が高い方だろう。
これらのサービスのどれもが、ユーザー自らが情報をまとめていくという意味で、旧来のメディアと対局にある発想を持つ。企業はあくまでプラットフォームを用意し、ユーザーが、ユーザーの「ガイド」を務めるのだ。これらのサービスは氾濫する情報の「ハブ」としてユーザーに愛されている。