前回の記事では、いち早く寄付市場に革新的なマーケティング手法を持ち込んだグルーポンの試み、そしてその背景にいた人々の挑戦を見てきた。
さて、各地から日本に続々と集まる寄付は、世界ではどう見られているのだろうか。今回の記事では、英語圏に向けて日本の寄付情報を発信しようとする日本のITエンジニアと開発援助のプロフェッショナルのコラボレーションの事例を通して、日本の寄付市場が抱える課題と、寄付市場の進化がもたらす新しい可能性について考えていこう。
日本の寄付の課題
「なぜ寄付の効率性は問われないのか?」
「バラマキ型の寄付にはお金が集まるのに、なぜ効率の良い緊急支援には寄付が集まらないのか。寄付することそのものが目的になってしまっているじゃないか」
馬渕俊介は憤りながらこう話す。開発援助機関を経て、外資系コンサルティングファームで勤務。その後コンサルティングで得たノウハウを開発の現場に持ち帰り、開発援助のプロフェッショナルとして最前線で活躍してきた男だ。
震災後、日本のNPO/NGOが各国からの支援を求めて情報発信していたが、「日本はもう寄付を必要としていない」という誤った情報が伝えられたことや、「寄付の効率」に関する説明の貧弱さが指摘され、海外からは不満が寄せられていた。