エアコンの設定温度を上げろは、
真夏に本当に効果があるのか?

 4月8日、官邸で開催された電力需給緊急対策本部において経済産業省は、『夏期節電対策の具体例』として大口・小口需要家ならびに家庭での節電対策の具体例を提示した。

 今連載のテーマである企業(とくにオフィス)の節電に関する対策を見ると、

  • ●空調温度の引き上げ(目安温度の設定)
  • ●照明の削減
  • ●OA機器の使用削減 etc.

 となっている。

 これらは東京電力のCMでも見られる内容だが、効率的かつ効果的に電力需要を抑制する対策としては、残念ながら、少々的外れのものが多い。

 繰り返しになるが、何度でも言う。

 今夏の節電の最重要ポイントは「ピーク時の電力需要を抑える」ことだ。この発想なくして計画停電を回避する大規模節電はなし得ない。

 前回、企業の節電対策はエアコン・空調に的を絞って実施すべきだと申し上げた。エアコンに関する経産省の具体策を見ると、『空調温度の引き上げ(目安温度の設定)』とある。

 しかし、これも基本的な発想がまるっきり欠如している。この表現のあいまいさが誤解を呼ぶ恐れもある。

 重要なのは「どうすればピーク時電力を抑えられるか」だ。

 たとえば経産省の対策を見て、「わが社では、この夏の就業時間中、朝から晩までずーっとエアコンの設定温度は30度にします」という対策をとったとしよう。残念ながら、この方針は皆に苦労を強いる割には、あまり効果がないと言える。