計画停電は実施しないが
家庭には2割の節電を
東京電力は4月8日、「今後、計画停電は原則として実施しない」とする方針を発表した。さらに今夏も〝原則実施しない〟という。「計画停電終了宣言」と報じるメディアさえあった。
「これで停電は回避できるのか」と安心したのもつかの間、同日に政府は、契約電力500キロワット以上の大口需要者には電力使用を昨年比25%程度、小口需要者(同500キロワット未満)には昨年比20%程度の削減を求めるといった、節電促進に向けた対策の骨子を発表している。
大幅な電力不足が見込まれている以上、突発的な電力需要増の懸念も捨て切れない。計画停電の可能性は依然として残っているのだ。
約1000万キロワットともいわれる真夏の電力不足。今夏の計画停電を何としても回避するためには、やはり企業の自発的な節電への取り組みが必要不可欠のである。
では実際に、どのような手段を講じればいいだろうか。
今回からは、「エネルギーコスト削減」の見地から私が強く推奨する、極めて抜本的かつ具体的な5つの節電プランをご紹介する。
ひとつめのプランは「エアコン」に関する提案だ。
使用電力の約3割を占める
エアコン
節電対策に最も求められているのは「ピーク時電力を確実に下げる」という発想だと前回述べた。それを大前提にして、まずは電力需要のピーク時間帯の図をご参照いただきたい(図1)。
夏場の電力需要は、朝の9時頃から一気に増え始め、13~15時を頂点に18時頃まで高い状態が続いている。
このピーク時間が意味することは何か。朝9時といえば、平均的な企業の始業時間であり、18時は同じく平均的な終業時間だ。出社すると需要が上がり、終業時を境に需要が下がる。夏の電力需要量は世の中のビジネスタイムと密接にリンクしているのである。
そしてこの時間帯に、もっとも電力を消費しているもの、いちばん電気を食っているのが――空調・エアコンだ。
朝、オフィスに出勤してエアコンを稼動させ、夕方、仕事を終えてエアコンを切ってオフィスを出る。その時間帯が、そのまま夏の電力需要のピークになっているのである。
実際、使用電力全体に占めるエアコンの割合は約3割にも及ぶ(図2)。オフィスや商業施設に限れば、その割合はさらに高くなり、全体の半分以上を空調・エアコンが占めるケースも多いだろう。
夏場の使用電力はもっと高い(前回の連載記事の図1を見てほしい)。当然、夏場だけでいえば、エアコンの割合はもっと高くなるだろう。
企業が焦点を当てて取り組むべき節電は、やはり「エアコン」にあるのだ。