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この夏に実施予定の電力使用量規制を受けて、金融界がその対策案の捻出に奔走している。そうしたなか、銀行界からとんでもない案が飛び出している。
経済産業省は現在、規制の中身を検討中で、瞬間最大使用電力の25%削減が濃厚となっている。これを受けて産業界は、それぞれ自主行動計画をまとめるよう指示されている段階だ。
金融界では、金融庁が業界団体や大手金融機関へのヒアリングを開始。このうち銀行界からは、「バンクホリデー」(業界関係者)なる構想が浮上しているというのだ。
業界団体の全銀協では、「毎週水曜日を休みにし、週休3日制にする」との案が出ている模様。銀行融資には休日であっても利子が付く。まさに「寝ているあいだに儲かり、政府に対しても顔が立つ」(同)というひと粒で2度おいしい案なのだ。
一方、割を食っているのが証券取引所。東京証券取引所や大阪証券取引所は、5月から現物株取引の昼休み時間を短縮、取引時間を延長する予定だったが、これを秋まで先送りするよう要求され、しぶしぶ呑んだ。だが、「システムは24時間稼働で、節電効果はほぼゼロ。しかも収益は落ちるし、海外投資家に対して印象が悪い」とあって、関係者たちは首を傾げる。
大証に限っていえば、7月から開始予定のデリバティブの深夜取引も「やめてほしいと言われている」(大証関係者)。夏の電力使用量ピークは13~15時で、効果はあまりないにもかかわらずだ。
オンライン証券業界も、取引所と同じく装置産業のため、「電気使用量の約9割が売買システムを含むデータセンターで、25%も削減できない」(業界関係者)と冷や汗モノだ。
もっとも、詳細が明らかになるのはこれからで、経産省は4月末までに中身を固める見込み。だが、業界内の事情と節電効果を鑑みた対応がなされる気配は、今のところない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)