ダイヤモンド社刊
1680円(税込)

「成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。しかし、組織というものが最近の発明であるために、人はまだこれらのことに優れるに至っていない」(『プロフェッショナルの原点』)

 ドラッカーは、成果を上げることは修得できるし、修得しなければならないという。それどころか、一流のプロフェッショナルとなることさえ簡単だという。

 自らの強みを知り、得意な方法を知り、自らにとって価値あるものを知ればよい。これに加えて、成果を上げるための原則を知ればよい。何に貢献すべきかを明らかにし、何に集中すべきかを定め、目線を上げればよい。あっという間に、町一番、県一番、国一番になれるだろう。

 つまりは、いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を身につければよい。ありがたいことに、そのようにして卓越性を追求するとき、仕事の質が一変するだけでなく、自分という人間が大きく成長する。ドラッカーは、それら身につけるべき姿勢と取るべき行動を、切れ味鋭い警句によって教える。それらの警句を集めた最後の著作、遺著とも言うべきものが『プロフェッショナルの原点』だった。

「自らの成長のために最も優先すべきは、卓越性の追求である。そこから充実と自信が生まれる。能力は、仕事の質を変えるだけでなく人間そのものを変えるがゆえに、重大な意味をもつ」(『プロフェッショナルの原点』)