デフレ下で消費者の行動変化も
ビジネスモデル変えられず

 百貨店・デパートのビジネスモデルは、基本的に、幅広く様々な品物を1つの場所に集めて販売することにある。こうすることで、消費者は、相対的に品質の高いモノを、一つの店舗で手に入れることができる。

 1970年代初めまでの“高度成長期”のように、経済成長率が高く毎年一定の割合で所得が増えていく場合、百貨店の売上も右肩上がりだった。そして、価格が高い百貨店で買い物をすることで、消費者は所得の増加を実感し、一種の“リッチ”な気分を味わうこともできた。

 ところが、そうした状況はバブル崩壊とともに大きく変わった。1990年代初頭以降、所得の伸び悩みに苦しむ家計は、中国をはじめ海外から入って来る安価な製品群に目を向けるようになる。その結果、価格が相対的に高くても、高品質を保証する百貨店に足が向きにくくなった。

 そうした状況下、例えば、「巨艦主義」で再開発事業とタイアップし大型店を積極出店した旧そごう(現セブン&アイ・ホールディングス傘下)は、過去の経営拡大の負担に耐え切れなくなり経営破綻に陥った。それは経済成長に支えられ、高価格のモノを販売して成長を遂げた百貨店業界の低迷の始まりだった。

 日本経済は“失われた20年”と言われるほどの長い低迷に陥った。デフレ経済の中で実質ベースの所得が伸び悩み、少子高齢化が成長の足かせになった。多くの個人は、高価格帯の商品を販売する百貨店ではなく、より価格の安い店舗での買い物を選好するようになった。

 “100円ショップ”、小売り大手の“プライベートブランド(PB)商品”のヒットは、デフレの産物といっていい。さらにインターネットの普及に伴い、楽天やアマゾンなどのネット通販も日常生活に浸透した。消費者は多様な品物を高価格で販売する百貨店のコンセプトに価値を見出さなくなってきたと考えられる。

 実際、ネット通販でもブランド商品などを正規取扱店から入手することはできるし、多くの個人が経済成長や給与などの上昇を実感できない中、わざわざ、高いお金を払って買い物をすることは合理的ではない。こうした消費者の行動様式の変化が百貨店の低迷の一因だ。