余談だが、日本の総医療費の対GDP比は8.1%で世界22位。アメリカに限らず先進諸国に比べて相当に低い医療費で、日本は世界保健機関(WHO)の健康達成度で世界一と評した医療を提供しているのだ。

 一方、ニューヨークの私立病院では、虫垂炎の手術は入院1~3日で約298万~354万円かかる(東京海上日動火災保険「世界の医療と安全2010」より)。

 健康保険に海外療養費を申請しても、取り戻せるのは日本で虫垂炎の手術を受けた場合の総医療費52万円から自己負担額の9万円を除いた43万円だ。250万~300万円は持ち出しになる。

 ましてや、大ケガなどをしてストレッチャーで飛行機に乗って日本まで移送されると、ニューヨークからは400万円以上かかる。アメリカのように医療費の高い国で病気やケガをすると思わぬ出費となり、家計に大きなダメージを与えることにもなりかねない。

海外療養費と海外旅行傷害保険
状況に応じて使い分けよう

 アメリカのように医療費の高額な国もある一方、「外国人も医療費はタダ」と噂される国もある。

 マイケル・ムーア監督がアメリカの医療問題を描いた映画「シッコ」では、2001年9月11日の同時多発テロで健康を害したアメリカ人消防士たちが、キューバで無料で治療を受けるシーンがある。この映画の影響で「キューバでは外国人の医療費も無料」だと勘違いしている人もいるようだ。しかし、あれは映画撮影のための例外で、キューバでも外国人患者の医療費は原則的に全額自己負担だ。

 イギリスの公立病院の救急外来は、外国人も薬代を除いて無料で受けられることになっている。しかし、日本同様に医療崩壊が進み、医師不足や看護師不足が深刻なイギリスでは、病院に行ってもすぐには診察してもらえないことも多い。現実的には費用の高い私立病院を全額自己負担で利用することになるだろう。