アスリートが登場するテレビCMで、ちょっと変わった趣向のものが放映されている。アサヒビールが今春発売した第3のビール「一番麦」のCMである。
出演しているのは、06年トリノ五輪女子フィギュアシングルの金メダリスト・荒川静香、04年アテネ五輪男子ハンマー投げの金メダリスト・室伏広治、アテネ五輪・北京五輪を連覇した女子レスリングの吉田沙保里、北京五輪男子フェンシング銀メダリストの太田雄貴、元WBC世界フライ級王者・内藤大助、五輪や世界選手権のタイトルこそ獲得していないが、注目度は抜群の女子卓球・福原愛の6人。日本を代表する超一流アスリートばかりである。
趣向が変わっているのは彼らが会社組織の一員として働いている設定になっていることだ。アサヒビールのホームページによれば、会社は「一番スポーツ」というメーカー。新任の女性部長である荒川の下で5人が営業として働いている。キャラクターも競技歴になぞらえて設定されているようで、荒川はやり手のキャリアウーマン、室伏は寡黙で頼りがいのある男、吉田は体力と根性で数年間一位の営業成績を続けている実力派OL、太田は就職浪人を経験したこともある若手、内藤は苦労人の営業マンで福原は海外を担当する若手OLだ。いずれも会社員らしいスーツ姿で登場する。
これまで放映されたCMでは、得意先に失礼があったらしい内藤と太田が平身低頭していたり、吉田が取引相手と握手をしたところ、握力のあまりの強さに相手が悲鳴を上げたり、室伏が製品の入った段ボールを軽々と担いだりといったシーンが出てくる。上司役の荒川はそんな彼らをリードし、最後に仕事疲れを癒す「一番麦」を勧めるといった展開だ。6人とも堂に入った演技を見せており、なかなかリアリティがある。
かつてはユニフォーム姿や
プレーの映像が多かったが
スポーツ選手・アスリートが登場するCMは数えきれないほど作られている。昔はその多くがユニフォームを着たものだった。プレーをする映像を商品にかぶせたり、ユニフォーム姿で商品を薦めるコメントをするものだ。