監査法人からの要請もあり、17年3月にHDで社内調査チームを、さらに今回第三者委員会を設置して調査を行う必要に迫られた。これが一連の顛末だ。

 東芝の不正会計では担当の監査法人の責任も問われた。HDの監査を担うあずさ監査法人が、前任の新日本監査法人が不問に付したFXNZの問題を再度俎上に載せ、さらに第三者委員会の立ち上げにまで踏み込ませたのには、こうした背景もあるだろう。

ガバナンス不在が露呈

 今回の事件は富士フイルムHD内の微妙なガバナンス構造を浮かび上がらせる。

 FXNZは米ゼロックスの英子会社が母体で、設立は1960年にさかのぼる。一方、ゼロックスと富士フイルムの合弁で富士ゼロックスができたのは62年のこと。「オセアニアは長くゼロックスのテリトリーだった」(HD幹部)こともあり、ゼロックスが源流のFXNZを、後から親会社になった“新参”の日本企業である富士ゼロックスがグリップできなかった可能性がある。

 同様のことがHDと富士ゼロックスの関係においても言える。15年に孫会社のFXNZで発覚した事件がHD案件となるまでに2年を要したが、「富士ゼロックスから情報が上がってこず、事件を把握したのは(報道があった)16年ごろ」と前出の幹部は明かす。

 というのも、富士ゼロックスはHDの連結営業利益の約50%を稼ぎ出す“強過ぎる子会社”であり、親会社がガバナンスを利かせにくい微妙な力関係にあるのだ。

 問題の本質は「数年間で累積220億円の損失」という額ではない。海外、そして子会社をいかに統治するかという、グローバル企業なら「当たり前」の経営力の有無が問われている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)