富士フイルム不適切会計、原因はまたも「強すぎる海外子会社」富士フイルムHDの中核子会社である富士ゼロックスの、さらにコントロールしづらい海外支社で事件は起こった(写真は古森重隆・富士フイルムHD会長) Photo:Masato Kato、123RF

 東芝に続き富士フイルムホールディングス(HD)も決算延期だ。背景には二重のガバナンス問題が透ける。

 ニュージーランドの関連会社の過去決算を第三者委員会で調査するため、通期決算発表を延期。「海外子会社の不適切会計」「決算延期」という東芝と同じキーワードで失望売りが殺到し、株価は一時5カ月ぶりの安値に落ち込んだ。

 事件の発端は、2015年9月に子会社の富士ゼロックスのニュージーランド子会社(FXNZ)で内部告発があったことだ。

 複合機のリース時には、機器代金と保守代金をまとめて売り上げ計上し、実際の資金回収は利用状況に応じて顧客から受け取る手数料で行う。ところが15年以前の数年間、実際に回収できる額より過剰な金額を計上していたことが、その後の富士ゼロックスの社内調査で判明した。その後、16年に現地報道で事態が広く知られ、追訴には至らなかったもののSFO(重大詐欺捜査局)など国家機関も調査に動く騒ぎとなった。