「とにかく1冊1冊を大事に売ってくれる書店員さん」。それが、ブックファースト渋谷文化村通り店の佐藤祥さんです。お話を伺っていると、その細やかな気配りは、商品はもちろん、お店づくりやマネジメントにまで及んでいることがわかりました。前編では、そのこだわりの一端をお伺いします。

書店員の仕事のうち、
表から見える仕事は2割くらい

――書店で勤められてどのくらいになりますか?

ブックファースト渋谷文化村通り店 佐藤祥さん(前編)<br />「誰に読んでほしくて、ここに置いているのか」<br />すべての本にはそこにある意味がある!ブックファースト渋谷文化村通り店の佐藤祥さん。お店の様子から、細やかなところにまで気を配っているのがわかる。

佐藤 アルバイトの時代からブックファーストにお世話になっています。最初は青葉台店に勤務していましたが、その頃から数えると、5年くらいになります。渋谷文化村通り店に来たのは、2010年の9月からです。

――書店を選んだきっかけってありますか?

佐藤 単純に本が好きだったんです。今はビジネス書をやらせてもらっていますけど、最初は文芸をやりたくて。せっかく本屋で働くなら、小説をやってみたくて。だからアルバイトのときは文芸をやっていました。ただ実際に書店で働き始めてみると、自分には馴染みのないジャンルもありますし、文芸と言っても幅広いんですけどね(笑)。

――そうだったんですね。好きな作家さんは?

佐藤 佐藤賢一さんとか、司馬遼太郎さんとか。歴史ものが好きです。佐藤賢一さんだと『双頭の鷲』がすごい好きで。

――実際に好きな作家さんの本を並べたりできたんですね。では、書店で働きはじめて、一番ギャップを感じたのってどういうところですか?

佐藤 とにかく忙しい(笑)。自分が買う側の立場だったときには、レジで接客していたり、棚で作業をしている書店員の姿を思い浮かべていたんですけど、見えない裏の部分ではダンボール箱を何箱も運んだりとか、とにかく忙しい。割合にすると8:2でしょうか。ウラというか、見えていないところでの仕事の方が圧倒的に多いですね。