「イノベーションとは、姿勢であり行動である。特にそれは、トップマネジメントの姿勢であり行動である」(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)
イノベーションを行なう組織では、継続学習の空気を生み出し、それを維持する。決して、ゴールに達したと考えることは許さない。学習を継続すべきプロセスとする。もちろん、そのためには、トップマネジメントの行動が変わらなければならない。
既存の事業をマネジメントするだけの組織では、判断がトップの主たる仕事となるが、イノベーションを行なう組織では、アイデアの奨励が主たる仕事となる。トップの仕事は、アイデアを具体的な仕事の提案に転換させることになる。トップたる者は、部下の声に耳を傾け、元気づけなければならない。想像を理解に、直観をビジョンに、意欲を結果に転換するために、自ら働かなければならない。
ところが、今日の経営者たちの多くは、アイデアを判断しようとする。ドラッカーは、その結果、ユニリーバの掲示板の組織図に誰かが張りつけた紙の言うとおりになるという。
「この組織図の、根から梢へアイデアは上り、ノーが下りる」
口先だけでは、イノベーションは行なわれない。
「判断することを仕事とするトップは、アイデアを拒否する。現実的でないとする。イノベーションを可能とするのは、生煮えのアイデアを体系立った行動に転換することを自らの仕事と考えるトップだけである」(『断絶の時代』)