ストイックになり過ぎない距離感の大切さに気付いて

寄付金で建てられているサンフランシスコシェルターの受付ロビー(アメリカ)

石黒 なるほど、さきほど話しに出た、アメリカの「8つのプロセス」など
は、その代表的なケースなんですね!

本庄 そうですね。「8つのプロセス」でも取り組んでいる、虐待が犯罪や教育に対して関わってくるという考え方も、愛護とはまた違った社会問題という見地とも言えますね。アメリカで、動物虐待の裁判を傍聴したんですが、家族の誰に問題があったのか、などが話し合われていました。こうなると虐待しにくい環境になりますよね。動物虐待は、深刻な犯罪であり、社会問題ということですね。遺棄にしても、犯罪と明確に位置づけされれば減っていくはずです。

石黒 欧米と日本の差、「ウェットードライ」に関して、日本ではどうも、一般の方には、動物保護問題と聞くと、命、重い、つらい、暗い、みたいに連想しそうな、負の刷り込みがありますよね。

本庄 死とかのイメージがあると、どうしても足が遠のくと思うんです。だから、殺処分から救わねば、と思って保護施設に向かうのはすばらしいことですが、そういう感じでもなく、休日に家族揃ってシェルターに行って迎え入れる犬や猫たちをみつけにいく、ぐらいのポジティブなイメージになっていけば、重苦しさは減っていくと思いますね。

石黒 本を作っていて思ったのは、本庄さんの文章には、暗さを感じない。あつい思いと共に、さまざまな問題を事象として捉え考察しているから、たんたんと読める。やはり、こんなに毎日動物のこと考えてたら、そんな感傷的にばかりなっていられませんよね(笑)。

本庄 たしかにそうかもしれません(笑)。13年前の最初が、イギリスから始まったのもよかったのかもしれません。こんなに明るいんだと。そして、だんだん深く知っていくほど、少し距離をとりつつ分析していくことが私にとっては大事なんだと気付きました。それが意義あることにつながると。

石黒 はい、こうして、本の形でもまずはつながってますから!(笑) 

(続く)