金本位制から現在の変動相場制までの国際通貨制度の変遷は四つの時期に分けられる金本位制から現在の変動相場制までの国際通貨制度の変遷は四つの時期に分けられる Photo:Pakawadee Wongjinda/gettyimages

金の歴史的な高騰の要因の一つは、新興国などの中央銀行による金の購入とドル離れである。世界経済の成長には、安定した国際取引の決済手段の存在が欠かせない。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「国際通貨制度と世界経済」。変動相場制の下で、経済発展に不可欠な要素とは。

金本位制から変動相場制へ
国際通貨制度の変遷とともに変動した世界経済

 国際通貨制度は19世紀に成立した国際金本位制(金ポンド本位制)から現在の変動相場制に至るまで変遷し、世界経済も変動を繰り返してきた。今回はこうした国際通貨制度の変遷と世界経済について瞥見(べっけん)してみたい。

金ポンド本位制
(19世紀後半~第1次世界大戦)

 金本位制の始まりは英国だ。1844年にイングランド銀行が金兌換(だかん)紙幣を発行して以降、ロンドンのシティがポンドを世界中に供給して、国際金本位制(金ポンド本位制)が確立していった。同時に、英国主導で世界中に自由貿易が広がっていった。

「世界の銀行」となった英国経済は19世紀後半には年5%程度成長し、経常収支も黒字を続けたのである。しかし、1914年に第1次世界大戦が始まり、米国からの武器輸入に伴う金流出が急増したため、英国が金兌換を停止し、国際金本位制は終焉(しゅうえん)したのだった。