お金持ちになりたい。そう願わない人は少ない。だが、お金は所詮、人間が経済活動のために信用を数値化して、価値を仲介するために作り出した道具に過ぎない。しかも今や、その発行主体は各国の中央銀行に限らなくなっている。信用があれば、企業のみならず、個人も“お金”を発行できる。そのためには、個人として信用され、それを客観視できる状態をつくることが必要だ。

前回は、老いも若きも皆、必死で旧時代の椅子にしがみつこうとしているけど、時代の変わり目である今、そんなに焦って動く必要はないのではないか、と書いた。そして、新しい時代に通用する人生のOS(オペレーティング・システム)として、「信用(クレディット)」と「紐帯(ネットワーク)」を養うべきときだ、とも述べた。

 すると、「信用」について多くのコメントが寄せられたので、当初執筆予定だった「幸せと豊かさ」については後に譲り、今回はこの「信用」についてもっと掘り下げたい。

「信用」といっても、「やっぱり人間、信用は大事だよね!」という説教用語ではない。これからじわじわと起こる資本主義という巨大システムの進化において、特に重要なキーワードがこの「信用」なのだ。

今、貨幣資本主義は2つの大きな進化を迎えている。それは、「信用創造(貨幣発行)の多極化」と「貨幣のショートカット(中抜き)」というものだ。今回はまず前者の、信用創造の状況について述べたい。

お金の発行主体は中央銀行に限らず
みんなが発行するようになる

 お金や貨幣というと一般的には、日本銀行やFRB(米国連邦準備制度)のような各国の中央銀行が発行し管理するものだ、と思われている。僕たちが普段、お金の発行を意識することはない。せいぜい「お金持ちになりたい」と夢見るぐらいだ。

 ところが今、“お金”は自由に発行され、管理される時代にさしかかっている。

 そもそもお金とは何か?

お金とは「信用を外部化(数値化)」したものである。お金は人間がその経済活動のために、信用を数値化して、価値を仲介するための道具である。