お金の正体が「信用」であり、その発行形態が「電子」になる世界では、信用の母体さえあれば、物理的には誰でも電子的に“お金”を発行することができるようになる

 もちろん、みなに使われるという汎用性がなければ、ツールとしての価値は低い。しかし汎用性は低くても、いわゆる今の“お金(これをハードマネーあるいはハードカレンシーという)”と交換(ペッグ)できる機能を持ったお金は、「ソフトマネー」と呼ばれ今後様々な形で発行されてゆくだろう。

 実際のところ、企業が独自に発行・管理するポイントやマイレージは、規模10兆円に達しようとする立派なマネーである。すでにナイーブな“ポイント”という言葉を超えて、立派な「企業通貨」になりつつある。

 航空会社のマイレージや、楽天、ツタヤ、JRなどが企業通貨のプレーヤーである。これらのプレーヤーはすでにそれぞれ4000万人近い(国民の3分の1)会員を持っている。このような企業は、21世紀には、自らお金を発行し、独自の経済圏を創ってゆくことになるだろう(下図)。

出所:日経新聞、各社プレスリリース、各社HP (拡大画像表示


こうした政府以外の主体が発行する擬似的な通貨を規制するしくみは、現在ほとんど存在しない

 ポイントに関しては、「プリペイドカード法(前払式証票の規制等に関する法律)」という法律があるが、ほとんど野放しに近い状態だ。発行したポイントをバランスシート上の負債勘定に載せていないケース、あるいは載せきれないケースも多々ある。しかも企業間でポイントを相互に乗り入れさせているので、実際の発行残高が企業単位では把握できない状況になっている。

 今後、母体の信用をベースに発行されたマイレージやポイントが、流通され、他のポイントとくっつく(ペックされる)ことによって、独自の企業通貨経済圏が出来てくるだろう。実際に、楽天ポイントとANAのマイレージ、yahooポイントなどの交換などが積極的に行われている。