日立はこれを不服として処分の取り消しを求めているが、すでにインターネット上には「日立自身が1株12ユーロの価値を認識しながら、ブレダとの同時買収で価格引き下げを狙っていた証拠」とされる内部文書の一部が公開されている。こうした情報が広がったことで、欧州市場では「共謀で行政処分を受けた日立」への風当たりが強まっている。

鉄道再編に出遅れも

「STSの価値は1株13ユーロ以上」と主張するエリオットとの面会を日立は拒絶し続けているが、エリオットのファンドマネジャー、ジョルジオ・フルラーニ氏は「日立は少数株主の権利が強い欧州市場で失敗した。このままでは次のM&A(合併・買収)は難しいだろう」と指摘する。

 世界の鉄道メーカーは、売り上げ規模4兆円の中国中車に続き、「ビッグスリー」と呼ばれるドイツのシーメンス、カナダのボンバルディア、フランスのアルストムが、それぞれ8500億~9500億円の規模。5000億円弱の日立の鉄道事業は、これらを追い掛ける立場だが、中国中車は、チェコの鉄道メーカーとの買収交渉が明らかになり、シーメンスとボンバルディアは鉄道事業の統合を協議中だ。

 世界規模で合従連衡の動きが加速する中、日立は最初の海外M&Aでつまずいた。少数株主の出方を見誤り、海外市場のルール認識に甘さがあったことは否めない。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)