オバマの決定は何でも反対!?

シェアリングサービス大手のウーバー、リフトが参加したパネルディスカッション。一般論での議論であり、法整備に関する具体案は特になし Photo by Kenji Momota

 今回のシンポジウム開催時点で、NHTSA長官は未任命のままだ。今年1月に就任したDOTのイエーン・チャオ長官は、昨年の自動運転ガイドラインを発表の1年程度後に改訂することを示唆しているのだが、具体的な動きはまったく見えてこない。また、DOTの肝いりとして企画された、自動運転を活用した未来型の街づくり政策『スマートシティ』についても、今年9月からオハイオ州コロンバス市での実施が決まっているものの、具体案については未だに公開されていない状況だ。

 また、アメリカにおける自動運転の法整備はこれまで、公道での走行実験を許可してきたネバダ州、カリフォルニア州、オハイオ州、テキサス州など、州政府の意向が強く反映されおり、それをNHTSAがどのように連邦法として取りまとめるかの段階にある。その中で、昨年までのAUVSIシンポジウムでは、州政府担当者も講演し、それぞれの地域における自動運転の社会受容性について議論を進めてきたが、今回は全体講演で州政府の発表はゼロだった。

 トランプ政権は「反オバマ政策」を唱えるイメージが根強い。自動運転に関する政策も、パリ協定からの脱却に見られるような大胆な方針転回で、葬り去るようなことはないと信じたい。だが、今回のシンポジウムで日米欧の各自動車メーカー関係者などと意見交換するなかで、全員の共通認識は「これからどうなるか、さっぱり分からない」だった。

 そのうえで、結局は自動車メーカーが90年代から徐々に進めてきた、高度運転支援システム(ADAS)が徐々に発展し、2030年頃には高度な自動運転に「なるのかもしれない?」という、自動車メーカーの商品企画として“夢物語”へと、自動運転の議論が逆戻りしてしまうような感覚を抱いた自動車メーカー関係者が多かった。