しかし、シンプルであることと、解決が簡単ということは別です。LINEグループにメッセージが来ると、それに反応してメッセージを返してしまう。問題解決のためには、この行動をやめなくてはならなかったのです。

 そこで、ユウキとこんな会話をしました。

 私「メッセージが来たら、メッセージを返すのはどうしてかな?」

 ユウキ「友だちだから」

 私「そうだね。友だちは大切にしないといけないよね。じゃあ、その友だちはメッセージの返信をどのくらい待ってくれるのかな?もちろん、『ユウキは付き合いが悪い』なんて、友だちに思われないようにしたいよね」

 ユウキ「数分だったら、問題ないと思う」

 私「そっか、じゃあ、ユウキはメッセージが来たら数分で返信しているんだね?」

 ユウキ「だいたいそう。でも、ごはんを食べているときとか、お風呂に入っているときとか、テレビを見てて気づかなかったときは、30分とか1時間とかレスしないこともあるよ。そんなときは、今お風呂入ってた、ごめんねって言うの」

 私「だとしたら、ごめんねって言わなくてもいい時間はどれくらい?」

 ユウキ「人間だから、それにみんなもいろんなことがあるから、すぐに返せないこともあるけど、20分だったらいいと思う」

 そんな会話のあと、「20分の集中宿題タイム」を作ることにしました。ルールはこうです。

 まず、スマホは勉強部屋に持ち込まず、見えない、聞こえないようにする。次に、タイマーを用意して20分(または区切りのよいところまで)宿題を進める。そうしたら、届いているメッセージをすべて読んでいいし、レスをしてもいい。終わったらまたスマホを置いて、部屋から見えない、聞こえないようにする。そしてタイマーで20分宿題をする。このくり返しです。

 ユウキが言った20分というのは、非常に理にかなっています。20分くらいなら、友だちも待ってくれる。そして、人間の集中力が本当に続くのも15~20分と言われています。

 友だちから付き合いが悪いと言われることもなく、宿題がきちんと終わるようになりました。その後、ユウキは「社会科」の試験で学年の成績上位者となり、校内で名前が貼りだされるほどの高得点を取ったのです。

(連載終了)