子どもの考える力を伸ばす効果的な方法があります。それは、ビジネス書の世界的ベストセラー『ザ・ゴール』の著者、エリヤフ・ゴールドラット博士が開発した「3つの思考ツール」を活用すること。博士が設立したNPO法人「教育のためのTOC」の世界最高位資格であるマスターリード・ファシリテータとして活躍している飛田基氏の新刊『考える力の育て方』の中から、そのエッセンスをご紹介します。今回は、「ブランチ」という思考ツールの使い方をご紹介します。
原因と結果のつながりを
整理する「ブランチ」
どんな行動の結果として、今があるのか。ある行動をとったら、将来どんなことが起こるのか。こうしたことを理解するのに役立つ思考ツールが「ブランチ」です。
ブランチは原因と結果のつながりを整理するためのツールで、紙に書き込んでいくだけで因果関係がわかる「出来事マップ」を作ることができます。
「クラウド」(連載第1回)の場合と同じように、箱と矢印を組み合わせて使います。クラウドでは箱の数は5つと決まっていましたが、ブランチでは箱の数に制限はありません。基本形の組み合わせで、さまざまな大きさや形になります。
基本形は、箱が2つと、矢印が1つから構成されます。箱を上下に並べたときに、下側を〈原因の箱〉、上側を〈結果の箱〉と呼んでいます(図表1)。そして、「もし〈原因の箱〉ならば、結果として〈結果の箱〉」と読み上げていきます。
「もし、彼は長い階段をダッシュで駆け上がるならば、結果として、彼は息切れする」というように読みます。
場合によっては、起こった結果が今度は原因となって、次の結果が起こることもあります。そんなときは、枝が伸びて育っていくかのように、箱を上向きにつなげていきます。
たとえば、彼は息切れしたことが原因となってダッシュをやめたくなったとすれば、次のように読みます。
「もし、彼は息切れするならば、結果として、彼はダッシュをやめたくなる」