テレビ番組に溢れている
「首なし人間」の匿名コメント
今回の事件について、メディアは県警の情報秘匿を批判したが、メディアの側も安易に情報を隠しているのではないか。
テレビの画面を注意して見てほしい。事件や、気軽なアンケート調査でもよい。画面に登場する「首なし人間」に気づくはずだ。
コメントする人の顔を見せないように、首から下の首なし人間の姿が映像として使われている。名前も年齢層もよくわからない。声の質も変えている。このような映像を見せられるとき、私は報道に対する不信感と拒否反応を抱かざるを得ない。
日本のテレビ番組ではこのような首なし人間のコメントは珍しくないが、これを国際社会の報道と比べてみると、日本のジャーナリズムの異色ぶりが見えてくる。安易な首なし人間の登場は、ジャーナリズムの危機である。テレビだけでなく雑誌も同様で、匿名の意見は多々登場する。
匿名報道はメディアにとって都合がよい。極端な場合、取材意図に合わせて捏造することだって可能だ。だからこそ、メディアの信頼のためにも、どうしても避けられない場合を除いて、匿名報道には慎重であるべきなのだ。
情報を出す側にも情報を取って報ずる側にも、多くの問題を突きつけたのが、今回の事件だと思う。