「梅おろし蕎麦」――氷結梅を少しずつ割りながら
酸味がつゆに広がっていくのを目と舌で楽しむ

 この時期のもてなしのクライマックスは「梅おろし」蕎麦。これは出汁と梅肉を和えて凍らせる。それを冷かけそばの上にのせる。この冷かけのつゆにひと工夫した。

“ぬるいなぁ、と感じる寸前の温度”のつゆが、氷結梅を溶けやすくするのだ。氷結梅を箸で少しずつ割りながら、酸味が大海のようなつゆに広がっていく様子を眺め、舌で確認していく。蕎麦鉢の中に亭主はエンターテインメントな仕掛けを作った。

夏季限定の梅おろしそば。氷結にした梅がどんと鎮座する。つゆに溶かしながら、梅の酸味の広がりを楽しむ、器の中のエンターテイメント。これを食べたくて遠方から客がくる。

 やわらかな色合いのステンドグラスがはいったドアをくぐり、1人で古木のカウンターの前に腰を落とすか、掘りごたつの座卓で4人で語りあうか。それとも、予約したテーブルに2人で記念日を祝うか――。「手打ち」の価値も、「じゅうさん」の価値も、味わい尽くそう。

「じゅうさん」
●営業案内
・住所 東京都中野区江原町3-1-4
・電話 03-3951-3397(FAX共)
・営業 昼11:30~14:30 夜17:00~20:30 定休・月曜
・HP なし
●おすすめ:粗挽き蕎麦掻(1200円)は必ずオーダーしたい。梅おろし蕎麦は夏季(6~9月)限定 (1380円)
●酒・料理:季節野菜の白和えや湯葉豆腐と、焼き味噌(630円)、出汁巻き(525円)、それに亭主お勧めのものを加えれば贅沢なコース料理になる。
●予算:夜は1人4000円~
●訪問:蕎麦初心者の得意先の接待、蕎麦好きの上司などを招くのも一興。
●地図こちら


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