和食料理21年の料理人が作る美しい前菜
本格懐石を加え、店の幅がさらに広がった

 二八蕎麦と創作料理に、今は和の本格懐石を加えて店は新しい領域を広げた。一品もの料理を楽しむのもいいし、2人以上なら予約でお任せのコースを頼んで、亭主に酒をセレクトしてもらうのもいい。

 和食料理21年の経験を経た料理人が作る前菜は美しい。

 この日はとうもろこしの摺り流し、金糸瓜(そーめんかぼちゃ)の浅漬け、ジュン菜の吸酢などが並んできた。出色は鱧の落とし、鱧は湯引きではなく一瞬熱湯にくぐらせるだけ。鱧の身はピンク色で半生の食感が舌にやわらかく甘みを残してくれる。 

鮑福良(ふくら)煮と生雲丹。長崎五島列島産の鮑を2時間ことこと炊き、味を含ませる。周りを包むように鮑の煮汁でゼリー寄せにした美しい逸品。鮑は旨みがぎゅっと凝縮されて日本酒がすすむ。

  椀物は鮑を2時間たっぷり酒を含ませて炊いて味を含ませる。そのアワビの煮汁でゼリー寄せにする。料理の一つ一つに手がこんでいる。

 震災後、もっと蕎麦屋は強い発信をしていいのではないか、と山田さんが語る。蕎麦は日本文化の大きな力となるのではないか、日本人そのものではないかという。

 明日、「案山子」で少し日本の勇気を分けてもらおうではないか。

「案山子」
●営業案内
・住所 東京都港区芝2-12-9
・電話 03-6272-4416 FAX 03-6272-4417
・営業 月~金11:15~14:00 18:15~21:00(料理LO20:30) 日12:00~15:00定休・土曜、祝日
・HPはこちら
●おすすめ:2名以上なら予約時にお任せのコースが豪華になる。葱汁蕎麦(1040円)が人気。
●酒・料理:日本酒は亭主のアドバイスをもらってみる。単品料理なら、つき出し、前菜、椀物など懐石風にいただくとよい。
●予算:夜は3000~5000円
●訪問:同僚や上司とならカウンター席へ。改まった席ならテーブルで蕎麦前会食と洒落たい。打ち合わせにも利用できる雰囲気がある。
●地図こちら
 

 

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